第29話
そう思っている時、ふと感じた。強烈でいて掴みにくい違和感が祐くんの中に存在している。そんなふうに感じた。何かこう、影が光によって消える。そう例えるのが妥当なような違和感だった。
「あ、そうだ佳奈さん。勝てなくてごめんね。有言実行はできなかったよ。メッセージでも言ったけど、やっぱり直接伝えたくてさ。」
祐くん?何言ってるの?
「ううん。そんなことないよ。祐くんはかっこよかった。負けちゃっても、君は私の心を変えてくれた。だから、それでいいのよ。」
黒が白へと変化するように、二人が笑顔になる。そして、私も訳の分からない怒りに支配される。
「もうそろそろ帰るね祐くん。体調も心配だし」
「あ、体調は大丈夫なんだ。ただ、心がね、ちょっと疲れちゃって。でも、話せて元気になったよ。ありがとう。またね。佳奈さん。茜さん。」
まただ。また光を感じる。このどうしようもなく、強い光。あなたは誰なの。
「またね祐くん。また連絡するね!」
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