第28話
「香奈さん、それに茜さん。どうしたの?」
案外元気そうな顔が覗く。今朝は出てきすらしなかったのに。まぁ朝はまだ体調が悪かったのかもしれないし。気にしないでおこう。
「ちょっと、ね。ほら、学校のプリントとか、連絡とか、持って行った方がいいかなって。」
目なんかキラキラさせちゃってさ。優しく接して好きにさせるつもりかしら。感動的だけど無意味ね。
「体調は?大丈夫なの?」
少し突き放すように聞く。
「体はかなり良くなりました。佳奈さんも、来てくれてありがとう。」
……この感情はなんだろう。嬉しいはずなのに、体調が良くなって安心なはずなのに。目の前の二人が、どす黒い緋に染まる。でもそれは私の頭の中だけで、現実の二人はなんともない。
わかっているはずなんだ。でも、認めたくないんだ。そんなわけがないと、脳が拒否してる。
だって、認められないじゃない。私にはまだ敬語で、この子には、名前で呼んで、友達みたいに話すなんて。
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