第27話
どれほど無茶をしたんだろうか。
「体力もないのに、運動不足なのに、無理をするからこうなるんだよ。祐くんはそんなことしなくても、周りが助けてくれるよ。私が助ける。」
そう言って祐くんの顔を見つめる。
すごく悔しいんだろうな。ずっと口を噛んだままで、ピクリともしない。そのうちに姫森さんが教師を連れて来た。
この子はなんなんだろう。
何故祐くんを助けるんだろう。
その場限りの偽善なら別にいらない。
そんなものは、今の祐くんには必要ない。
今彼に必要なのは、過去を思い出させるためのきっかけだけ。
だから私が、
私だけが必要なんだ。
それらを顔に出さないように微笑んで話す。
「ありがとう、姫森さん。」
次の日、祐くんは学校に来なかった。メッセージアプリでの返答は遅い。もしかしたら相当体調を崩しているのかもしれない。心配でそわそわしていると姫森さんが話しかけて来た。
「新橋さん、少しいい?」
偽善者がなんの用だろう、まったく。
「どうかしたの?」
「あの、彩部君の家知ってる?」
小動物のように可愛らしく、それでいて弱々しく、誰もが助けたくなるようなオーラを纏いながら尋ねてきた。
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