第23話
毎日練習に励んでいたことは、少し早く効果を出した。本来はクラスと仲良くなるために活躍することが目的だったが、練習を見ていたクラスメイトから声をかけられるようになった。特に姫森香奈さん。彼女は吹奏楽部に所属しており、姫の名の通り可愛らしくお嬢様だ。たまに我儘を押し通す時もあり、頬を膨らませているのは微笑ましい一面だ。そんな彼女が声を掛けてきたのはほんの数日前。大きな公園を散歩していた時、僕は息を飲むほど綺麗な空を見た。思わずスマホのカメラで写真を撮り、そのままそこに仰向けになって空を眺めていた。少し時間が経った頃に僕の顔に影を落としたのが香奈さんだ。ほっそりとした手足はとても白く、肌は滑らかできめ細かい。覚えているのはそれくらいで、何を話したかはよく覚えていない。ただ、それから毎日話しかけてきてくれて最近はずっと話している。茜がいなくても過ごしていけるようになったのは彼女のおかげだ。
そして、今日毎日の練習の成果が試される。昨日に香奈さんは頑張ってと言ってくれた。単純な僕は今とても興奮している。どうやら応援されるとエンジンに火がつくのは本当らしい。体育館の観戦席で友達と話している彼女を見る。最近話している時にも思うことが心の内に現れる。彼女が気づいて僕に向かって手を振った。その瞬間、僕の心の想いは確信に変わる。僕は彼女の事が……。
試合開始前のホイッスルが鳴らされ、僕は現実に引き戻される。あれだけやったんだ。絶対に優勝する。
さぁ、ここからは僕のステージだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます