第21話
どっちが隠で陽なのか。そんなことはどっちでも良くて、困ったならお互い様、だよね。リバーシの駒みたいに、くるくる掌を返すような関係じゃダメだ。挟まれても自分は変えない。周りの変化になんて対応したくもない。きっと前の僕は駒だった。周りの変化に振り回されていた。そうだろう?なのに、人の対応なんてまるで気にならないくらい精神がまいってしまっていたから、みんなの目が気にならなかったんだ。僕はこれから、どちらかに染まる。違う同士が同時に存在なんてできない。白か黒か、一色に染まる。前の僕に慈悲なんてない。僕たちが分離してしまったあの時から、ずっと1人にした罪はここで受けてもらうよ。
こっそり練習する日々が続く。あれから俺は変わってしまった。いや、交代していた。事故の日、俺は、俺たちは入れ替わった。人と人ではなく、自分と自分で。それでも理解には時間がかかって、ついこの間意識がはっきりしたばかりだ。今表に出ているのは、かなり前、事故のショックで分離したもう一つ、正確には元の俺だ。暗くない、標星のように明るい性格。たまに暗くなるのは俺の影響だろうか。なんにせよ、今まで寝ておいて今さら出てきて生き方を変えるとは。そんなことは許されない。何年もかけてようやく発見した生き方なのに。親のことをとやかく聞かれないように、義父母の事を、義妹を悪く言われないように塞ぎ込んできたのに。誰にも気づかれないように、ひっそりと生きていたんだ。それを、自ら目立つ方に行くとは、一体何を考えているんだ。とにかく、またどこかで戻れる時があれば、やめさせてやる。
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