第15話

「黄色…雨……」

ドクッと心臓が大きく跳ねた。なんだろうか、すごく怖い。怖い。まるで目の前に死でも迫っているかのような鼓動。死。あれは怖いものだ。いや、なんだ?あれ自体ではなく、なんなんだ?頭の中にイメージが湧き上がる。水溜まり。涙。赤く染る周囲の地面。ガードレール。光るフラッシュ。ざわめき。驚きと好奇心旺盛な声。白線。ビニール傘。そして、黄色いカッパ…。そこでハッとした。これらのイメージと、僕のスケッチブックに描かれていた絵が同じ…。雨の中横たわる男の子。同じく、大雨の中倒れているリアルなイメージ。以前の僕は何を考えて描いていたのだろうか。なぜあんなものを描こうと思ったのだろうか。

「祐くん?どうしたの?なにか思い出した?」

気が付くと目の前に人の顔があった。思わず後ろに飛ぶと壁に激しく頭をぶつけた。

「ごッごめん!そんなに考えてると思わなくて…。大丈夫?怪我してない?」

頭をさすりながら問いかけてくる彼女は一体誰なんだろうか。病院の時も居たが、どういう関係なんだろうか。登校が同じということは付き合っているのだろうか。それとも…。

「すみません。大丈夫ですから。気にしないでください。」

なるべく棘のないように返し、会釈する。さぁ、用事が出来た。一刻も早くこの謎を解いてみたい。僕は前の僕が今までに描いた絵を全て見直すことにした。

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