第11話
「祐兄!祐兄!ねぇ!目を閉じるな!ねぇ!ちょっと...、起きてよ...。」
目を閉じていてもまだ意識はあった。大丈夫。そっと目を開ける。僕は状況をすぐに理解できる。できる。いや...でき...てるのか?何が起きた?あいつらに押されて、遥かの前に立って、光が眩しくて、
...ん?あいつらは?トラックは遥の後ろに止まっていて、運転者らしき人が電話をしているが、僕を押したあいつらの姿はどこにも見えなかった。
僕はなぜか泣いていた。体はもちろん痛いけれど、それよりも死んでしまうことが怖かった。触れた指先からは温かさを感じない。そんな風になってしまうのが怖かった。目や後頭部から流れた熱いモノは冷たい道路に流れていった。
目を開けると全く知らない天井があった。首を傾けると、知らない子たちが泣いていた。誰だろう。その子たちのうちの一人がどこかへ行って白衣の人を連れて帰ってきた。僕はどこかの部屋へ連れて行かれ色々と質問をされた。そしてみんなは悲しい顔をしていた。泣いていた。なぜ泣くのかはわからなかったけど、僕のせいであることはわかった。そして白衣の人は周りの子に言った。
「外傷性の記憶喪失です。日常生活においてはおそらく大丈夫かと思われます。ですが人間関係や環境はどうも覚えていないようですね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます