第4話
三人で一通り話し合ったときは、すでに21時を越えていた。遥はまだまだ話足りないようだったが、茜には帰ってもらった。また来ると言っていたが、正直もうお断りしたいところだ。考えてみて欲しい。僕自身が好感を持っている綺麗な子がずっと僕に向かって話しかけてくるのだ。素直に面と向かって可愛いだの綺麗だの少しでも褒めることができたならばこうはなっていないのだろうが、もちろんそんなことを言えるはずもなく、ただ赤面する状況を過ごすのみだ。
急に静かになったリビングのソファに座り、テレビをつけた。そこでやっていた番組はドキュメンタリー番組で、記憶障害の女の子の話だった。画面の隅には泣いているタレントがいた。不意に偽善者という単語が浮かび上がったが、すぐに打ち消した。そうしなければ、自分の義母親と妹を偽善者にしてしまうことになる。
自分のことはよくわかっている。隠キャで、性格もクズで、いなくなった方がいい奴で、いなくなっても誰も悲しむことがないような奴。他の人と違うことがあるとすれば、常にネガティブ思考であることくらいだ。今まで生きてきた時間も全てが無駄で、何をしてもうまくいかない。生きていても仕方がないような人間だ。こんなことを言うと
「じゃあ死ねばいいじゃん」
と返ってきそうだ。今の世間は他人に厳しいからね。だが、僕の奥底にある何かがそれを拒む。それは死に対する恐怖か、それともまた別の何かなのかもしれない。
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