第3話

僕の料理よりも美味しかった海老のスープは三人で食べるとすぐになくなった。妹はそれでも食べ足りないらしく、お土産のラスクを頬張っている。そんな呑気な妹に僕は質問を投げた。

「で?今日はなんのつもりで茜を呼んだわけ?しかも料理まで作って。ていうか材料どっから持ってきたんだよ。」

「ふぇぇ?ほんなほほいはれへもふぁあしふぁよんふぁふぁけひゃないのにぃ」

全く、ラスクを咥えたまま喋るからそうなるんだろうが。

僕は心の中でそう言い、三人分の豆乳をカップに入れた後、お皿に並べた少し高いクッキーをテーブルへと持っていく。

「あのね祐くん。今日は遥ちゃんが呼んだんじゃなくて、私がきたの。もちろん材料も私が持ってきたのを使って二人でつくったのよ。だから遥ちゃんを責めないで。」

少し紫色を含んだ声で言う茜は鋭い目で僕を射抜いた。そんな趣味はないが、思わず美しいとさえ思う目だった。

彼女の目は特別なのか、髪と同様に色素が薄かった。透き通った目は、空の上から海の底まで。肉体の内側から心の中までをも見抜いてしまいそうなほど綺麗だ。

「そうか。茜が来たのか。うん、それは悪かった。それだけは謝る。」

そう言い、かしこまって遥にお辞儀をする。当然バカにされた遥は何か文句を言おうとしたがラスクが邪魔をして何も言えなかった。

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