わたあめ
西風田正作用
わたあめ
近頃のあまりに先行く前衛の
流行ってすらもいない詩集。
ピンクの小さな新詩集。
小さな賞を受賞した
わたあめのようなあの詩集。
普段なら食べたいなどと思いもしない
意識に上らぬふわふわの
お祭りでしか見かけない
少しばかりは気になるけれど
結局食べないふわふわの
言葉が細い糸となり
重なり、くっつき、途切れたり
形をもつのか、もたぬのか。
舌が触れたところから
糸らはすぐに溶けてゆき
甘ったるさのその中に
独りよがりの苦み玉。
しかし、夢。
空気を含んだ幻想の。
疲れたうきよの人々を甘い匂いで振り向かす。
ふわふわのピンクのわたあめ夢のもの
しかし後には残らない。
祭りが終われば忘れてしまう
ピンクのわたあめ夢のもの
わたあめ 西風田正作用 @achida
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