船を漕ぐ

枷が不自由というならば、

自由が幸福というならば、

運命を回す神は、幸福ではないだろう


だから世界の神は、舵を絶えた

船の行方は、人に預けられた


舵を取った彼らは叫んだ、自由だと

彼らは知った、名誉と傷を

彼らは恐れた、強者の牙を


嵐に打たれ、波にもてあそばれ

帆は綻び、殻は剥がれ落ちる

幾度も繕い、我が身を守った


陽の差す浜辺に乗り上げた船はいくらか

その船に残されたのは、人の形をした木偶であった

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