果実の味
名もない果実が実っている
第一に、天の者がそれを食べた
天の者は言った
「苦すぎる」
第二に、冥土の者がそれを食べた
冥土の者は言った
「甘すぎる」
最後に、地上の者がそれを食べた
地上の者は言った
「味などしない」
地上の者はその種子を撒き、育てた
幾千年たった今、それは人の心に植わってある
地上の者は、たわわに実ったそれを久々に食べた
地上の者は言った
「味などしない」
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