夜を飛ぶ者【詩集】

示紫元陽

夜を飛ぶ者

月は冷たく天に笑う

星は鋭く夜を射抜く


烏が氷の大気を掴んだ

その翼はしじまに啼き、

舞う羽が地に捨てられる

黒羽を拾う手はない


光る蠅が飛んだ

それはとても奇妙で、滑稽である

落とした物は何もない

けれども、あらゆる瞳が蠅を追った


先の烏は夜闇に溶けた

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