第2話 グーゲイズ:いざバトル!
俺とレフォアが
それを受け取ったエイシャが〈力を高める祈り〉に入った。
次第に体内から衝動が湧き上がり、全身で力がふつふつとたぎってくるのを感じる。
六体の
祈りを行なっている間は他の行動がとれず、敵の標的になるからだ。
そして
だが、エイシャは祈りと同時に結界を張れる
単独で乱戦の
頃合いを見計らう。そして
突撃のタイミングをレフォアに合わせることを示し合わせたのだ。
レフォアが
レフォアも俺と同じく厚手の
もちろん軽量化の魔法もかけてあるのだが、筋力の差で
それゆえ彼女の足はいくらか遅くならざるをえない。
とはいえ
日頃の鍛錬を怠っていないためだろう。
そもそも俺は馬にも負けないほどの脚力を持っており、騎士団
走力においては誰にも負けない自信がある。
だから行動のタイミングはレフォアに合わせていても、行動を一にできるのだ。
しかし魔物とくに魔族が相手の場合は、
肌を隠す面積のなるべく大きい
いついかなる敵と戦うことになるやもしれぬ〈勇者隊〉はつねに万全の備えを
同じ理由でエイシャも厚手の
レフォアは剣の腹を
そして
俺は右手で長剣を
レフォアの双剣から風を切り
俺たちふたりが接近すると、手前のグーゲイズ
ここからは時間との勝負だ。
レフォアと俺は魔法剣をグーゲイズの背に生える羽の付け根へと振り抜く。
そのときレフォアの剣から鋭く風を切り
彼女が手にするのは〈
刃が風を切り
高く大きな音が鳴ればそれだけ硬いものも撫でるように切れるのだ。
俺たちはグーゲイズの
すでに次の
レフォアに少し遅れて俺が二体目に向けて走り出すと、後ろからカセリアの呪文の
二体目をレフォアと同時に素早く処理してそれぞれ三体目へと向かう。
後方からは空気とエネルギーの収束音が加速的に高まってきた。
俺は三体目の
わずかに遅れたレフォアが三体目の羽を
レフォアは三体目の羽を斬り落とすと、すかさず広間の中央へ向けて跳びながら声を発した。
「カセリア様!」
それに応えるようにカセリアの威圧感あふれる声が響きわたる。
「エナジー・ジャベリン!」
直後、広間に一筋の太い光の束が激しく輝き、
この一撃で手前の一体は完全に消滅し、中央の一体は大穴が空いてその場で音を立てて
〈エナジー・ジャベリン〉の巻き起こした激しい震動にしばし身体の自由を失いながらも、歯を食いしばり
レフォアはカセリアの魔法の光が途絶えるとすぐに起き上がり、双剣を構えなおしてこちらに加勢するべく向かってきた。
ドスーンという大きな音が立つ。
振り向くと俺の列にいた一体目のグーゲイズが飛び立とうとして地面に叩きつけられていた。
どうやら
なんとかしてグーゲイズの首を斬り落とすと、レフォアが駆けつけてきて鋭い音とともに硬化の解けかけている両脚をひと
しかし俺が最初に
レフォアと視線を交わして今相手をしている三体目を素早く倒しきろうと技の限りを尽くした。
グーゲイズの
「エナジー・ボルト!」
再び
床から這い上がりながら魔法を唱え終わった一体目のグーゲイズが蒸発し、現出した魔法ごと光の中に消えていった。
先ほどの〈エナジー・ジャベリン〉にしても今回の魔法にしても圧倒的な破壊力だ。
カセリアは二十代の若い外見をしているがすでに百歳は過ぎているという。
魔道を
だが真相は違っていて、ここにいる者たちだけが真実を知っていた。
またドスーンとしたたかに倒れる音が聞こえる。
〈エナジー・ジャベリン〉と〈エナジー・ボルト〉の発動で疲労してやや集中力を欠く中、次弾の詠唱間隔を考えると、今度こそグーゲイズの魔法が先に完成するだろう。
王国軍師がカセリアに与えたのは〈マナの首飾り〉といい、万物の力の源であるマナを
それを大魔導師のカセリアが用いれば、向かうところ敵なしである。
だがいくらマナが供給されても、精神を再統一して呪文を唱えて完成させるだけの時間は
それが前衛を担う俺とレフォアの役割のひとつである。
カセリアの次弾が間に合いそうにないと判断した俺とレフォアは、未だ硬化が解けきらない
加速をつけながら斬撃を叩き込み、俺は暴れるもう一方の羽を斬り落とした。
迂回してきたレフォアは勢いをつけて首を
充分な滑走距離を得た〈
それでもガーゴイルは腕や脚をぶんぶん振るって暴れまわる。
実体が精神体の魔族には痛覚がない。いくら五体を刻まれても肉体は攻撃をやめないのだ。
まったくのデタラメな攻撃だったため、攻撃パターンが読めずに
エイシャの〈守りの祈り〉のおかげで派手に飛ばされた割に攻撃を受けた腕と、地面に叩きつけられたダメージは驚くほど軽い。
「レフォア様、囲まれていますわ!」
エイシャの叫び声がこだまする。
見まわすと首が落ちて両脚を切断されたグーゲイズと、腹部に風穴の空いた生き残りが背後からレフォアに迫っている。
「レフォア殿! すぐに剣を
ナジャフは続けて言った。
「そいつらは剣が発する強力な魔力に誘われています!」
レフォアの刃を見ると先ほど魔族の首を
女戦士は素早く血振りして愛剣を納めるとエイシャたちの待つ後方へと全力で走り出した。
そのときあることを思いついた。
確証はないのだができそうな気がする。
先ほどまでレフォアがいた場所に急いで滑り込むと剣を高く掲げる。
「カセリア! 剣に魔法を!」
「エナジー・ボルト!」
三たび
この魔剣は片刃に魔力を宿していない。その代わり敵がかけてきた魔法や
攻撃魔法の盾として使える〈
だが、閃光爆発のエナジー系を受けたことなど一度たりともなかった。
カセリアが言うには、やってみないとわからないがその場で暴発しかねないのだそうだ。
〈エナジー・ボルト〉を吸収した剣からは今も激しい振動が伝わってくる。
そうしながらも掲げていた光が徐々にではあるが
瞬間の破壊力を有する〈エナジー・ボルト〉の魔力は
襲ってくるグーゲイズの攻撃をかわしつつ一体を斬り伏せる。
と同時に爆発が起こって魔族は消し飛んだ。
しかし爆風をまともに浴びて
剣の輝きが消えぬうちにと体勢を立て直して残る二体を瞬時に斬り伏せるが、二つの爆風を至近で浴び、俺は広間の奥壁まで吹き飛ばされた。
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