第11話
中矢達は親をなんとか説得し、婚姻届を役所に提出した。その後に住居の問題が持ち上がった。
「お金の事を考えると下宿先に頼み込んだ方がいいと思う」と妻は言う
「そうだね、手持ちも少ないし」と中矢は応じた。
交渉の席で大家は「うちは小さい子もいるし教育上夜の生活は控えてくれ」といった。
中矢夫婦は条件をのみ下宿先に同居することになった。
「つまんないなぁ」と妻は言う
「俺も、ところで美幸おれの小説よんだことある?」と中矢
「ゆうくん小説かくの?なんかの記者さんだと思ってた」
それから2人は、中矢の小説を読みそれについてどうだこうだ言って過ごした。
そんな中2人には共通点があることを認めあった、2人とも猫が好きであり、2人とも幼いときに猫を飼い、その猫が行方不明になってしまったと言うところだった。
「あの猫が居なくなってからなんだかこころもとなくなっちゃったなぁ」と妻は言う
「俺らはペットロスなのかもしれないな」と中矢は言う
「猫かいたいなぁ」と妻は言う
「猫かいたいね」と中矢は言う
そんな他愛ない生活に中矢は満たされていった。小説家イーターは頭にきていた「まじ~食えね~念だ俺を無視しやがってグギィ~」、中矢はさっさと小説を仕上げようと「やっぱ仕事に精を出さないとな」と執筆にとりかかる。
品川のアパートの大家と不動産屋の紹介で知り合ったジョージは居酒屋で大家と飲んでいた。
「ここは俺のマネーでペイするよ」片言の英語で2世を装う、最近、東京ステーションホテル近辺でも警官が目立つようになった、先日とわこは新聞を読み、強盗事件を知り「ジョージ大変なことしちゃったね、ギャンブルって強盗の事だったの?」と言った、「まあある意味」とジョージはいった。
大家はやたら金遣いが荒くあやしい和製英語を話すジョージを犯人だと見抜き、アパートを貸す契約を結んだ。
アパートで3日過ごしたあとに警官がやって来た、 警官は令状を読み上げる「5月18日、柿崎吾郎を現金強奪の容疑で逮捕する」、ジョージは動揺する「ユー達はなにやっちゃってるんだよ、ミーはジュニアだよ、ノー柿崎ノー吾郎、ミーノー関係、とわユーがやっちゃったの?」、とわ子は往生際の悪いジョージに呆れ果てる、署に向かうパトカーの中でしきりにジョージは「オーミステイク、オーミステイク」と呟いた、いったいなにが失敗だったのか?そう彼の人生は“全体的な失敗作”だったのだ。
小説家イーターは激怒した。「グギギギィ野郎絶対にぶっ殺す」、次の朝、猫達が後楽園で2人で取材に出掛けた夫婦をおそった。
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