第9話

中矢はK町に向かっていた、ボーナスは3万円、かなりの大金だ。

K町には馬券の販売所があった、今日のG1レースは月下賞、本命はオジサンブラックなんとG1三連勝中だ、中矢は大穴を狙う、同じ馬主のオバサンホワイトとキャットウォークが一番人気がない。倍率は200倍、馬番号は13と6かなり不吉だった。

今や猫は害獣と言うのが世間一般の認識になっていた。猫が歩けば小判も無くなる、と言う新しい諺ができたぐらいだった。おばさん達は猫を保護していた、後楽園の生存競争の激しさからあぶれた迷い猫たちに、猫食堂を開催し猫缶をふるまっていた。

ラジオの実況が始まった「さあ全馬いせいにスタート!おっとやはり一番人気オジサンブラックが抜け出した~!解説の田沼さんやはりオジサンブラックのスタートダッシュは凄いですね」「まあオジサンですしブラックと言うことでアドレナリンが上がってるのかもしれませんね」「おっと2番手3番手はオバサンホワイトにキャットウォークだ~!これはいったいどうしたんだ~!」「まったく分かりませんね」「これは何が起きるか分からなくなってきました!田沼さんどう言うことなんでしょうか」「まったく分かりませんね」「あ~ついに2頭がオジサンブラックをかわした~!そのさ4馬身ほどに広がっています万馬券でるか~!」「おっとここでオバサンホワイトがコースを外れたぞ~つられてキャットウォークもコースを外れた~騎手が落馬~!これはヒステリーか~!キャットウォークが騎手を踏みつけています!田沼さんこれはどうしたんでしょう」「ちょっとしたことが気にくわなかったんでしょうね」「そうこうしてるうちにオジサンブラックが一着~!つづいて、つづいてライターイーター、ライターイーターが2着だ~!」


為実はブラックコーヒーを一口すすり培養液に浸かる小説家イーターに採取した細胞をSTAP技術で神経細胞にしたものを注入する「グギギギィきもちいぃ」、脳オルガノイドの小説家イーターの神経は様々な小説家たちのSTAP細胞で出来ていた、太宰治、芥川龍之介、みな自殺したことになっている小説家たちだが実は小説家イーターに殺られてしまっていたのだった。

そして小説家イーターの神経の51%は為実の細胞で出来ていた。為実は小説家イーターと念で会話をする。

「息子の小説はどうだ、なかなか世間では評判らしいのだが」

「うめ~うめ~まだまだ苦しみがたらね~」

「そうかでは、どんどんまくし上げてくれ」


中矢は競馬で負けた虚無感から立ち直れないでいた。

「どうしよう3万すっちゃった半年は遊べる額だったのに」中矢は鬱っぽくなってしまう。

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