第8話
「なんでみんなあの広場に集まるのかな?」中矢は女の子に聞いてみた。
「特に何もないから」と女の子。
「何もないからってあそこいくの?」
「うん、なんとなく」と女の子。
「なんだか雰囲気全体感」
「全体感か」と中矢。
「なければ全体だし」と女の子。
「哲学っぽいね」と中矢。
「ははは、おじさん面白いね」
レストランを出て中矢は、全体的なことについて思いを巡らす。
「なぜ猫たちは後楽園を目指すようになったのか?後楽園には全体的な何かがあるのだろうか?全体的になってしまった猫、悪夢のようだ」と中矢は憂いた。
中矢は執筆に取り掛かる。
ジョージととわ子は競馬場に来ていた。金が残り80万に成っていた。約半分豪遊し使いまくった。
「当たるといいな」ととわ子。
「当たるだろ大穴だからまた遊べる」とジョージ。
とわ子の希望で、とわと言う事で10番と8番に30万をつぎ込んだ、10と8、108、煩悩の数である。
8番はブラックホールと言う名前の馬で、10番はドッグウォークと言う洒落た名前の馬だった、犬も歩けば棒に当たるからとったらしい。
ラジオの実況を聞く、「さあ第33回月下賞のファンファーレが鳴ろうとしています。解説の田沼さんやはりグッドイヤースペシャルが1着でしょうか?」「そうですね速そうですし」「さあ始まりました全馬12頭、まず飛び出したのはグッドイヤースペシャル、このままぶっちぎれるでしょうか?2番3番手になんどブラックホールとドッグウォークが着けてます、おっとブラックホールがグッドイヤースペシャルをかわした、ドッグウォークもあとに続きます、凄い凄い凄い2頭がぶっちぎってますグッドイヤースペシャルとの差が24馬身です、恐ろしいスピードでブラックホールつづいてドッグウォーク、波乱の展開の月下賞を制したのはブラックホール!!なんと大穴330倍が出ました~!!凄い凄い!!」
「ジョージやったはこれで一生遊んで暮らせる、無駄遣いをセーブしなくちゃ」ととわ子は言う。
「そっかじゃあ下宿探さないとな、とりあえず品川あたりにアパート探すか」とジョージは言った。
中矢は後楽園に行こうか迷っていた。猫たちのたむろす後楽園、もしかしたら伝説の猫が関係しているのかもしれない、そこに編集長から電話がかかってきた。なんでも小説芸術が飛ぶように売れボーナスを支給したいというのだった。
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