72
72、ミミック さん
次は私が。
私はよく宝箱と間違われるミミックと申します。
なんだか私は仲間と違うみたいで、しゃべるし動きます。
亜種とか新種って呼ばれてます。
この辺りは私みたいに進化したミミックが多いので、仲間うちで小さく頑張って暮らしてます。それに人間の食べ物って美味しいですから、お仕事頑張ってますよ。
これは私がまだダンジョンで暮らしていた頃――って言っても少し前の話なんですけど。
ある時、見てしまったんですよ。
魔族のたくさんいる町の近くのダンジョンなんですが、宝箱を開けてアイテムを確認した時に仲間割れするパーティって多いんですよね。
その時もそうだったんですよ。
3~4人いて、すぐにアイテムを巡っての戦いが始まりました。
戦いが過激になっていく最中にひっそり置いてあった棺桶が、開いたのです!
棺桶から出たその死体が、戦っている人間の後ろから襲い掛かったんです。
ひどい奇襲で力尽きた人間はさらに別の人間に襲い掛かるし、まさに地獄絵図でしたね。
恐ろしくて最後まで見ることはできませんでしたが、逃げ帰る途中に後ろから女の笑う声が聞こえたんですよ。
オチないですか……? すみません。終わりです。
――ガチャン!
――ガラガラと何か崩れ落ちる音がする。司会役である酒場の娘がその方向を確認すると、そこにいたはずの死霊使いがいない。
酒場の看板娘 さん
「あ、あれ!? 死霊使いさん!? いない……。ミミックさんありがとうございました~。旅人さんも百物語中には不思議な事が起きるって言ってましたから、気にせず進めましょう」
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