侍騎士

季節は冬。

砂漠に雪が降り注ぎ、ハンターが一番活発化する時期。

冬眠しようにもその巨体を隠しきれないモンスター(S、X型等を除く)は眠い目を擦りながら生きる為に身を守り始める。

その為デットラインではいつもなら激しい段幕が昼夜問わず飛び交うのに、今日は寒い冬の中でただ突っ立っているだけの仕事に飽き飽きしてきたのか賭け事をし始める兵士達が見られた。

ハンター達は普通なら使わない実包型の弾薬を使いはじめる。

バレルの結晶化が激しくなる時期だからだ。

しかし、ハンター達の成果は乏しい。

いつも素直なエネルギー系のを使用していたハンターが突然癖がエネルギーより極端に出る実包型の弾薬を使い始めたからだ。


当たらない。

威力無い。

値段が高い。


この三拍子が冬でもエネルギー系を使うハンターを出す事を意味している。

しかし。それでも利点がある。

それは……


「フゥー……ッ!」


スナイパーは知っているだろう。

エネルギーと実包の違いに。

その優位性が変わる場所を。

今日も仕留めた。

運び屋に連絡するが、連絡が戻らない。

1分たった。

マイクロドローンを起動させた。

運び屋はハイエナだった。


「嘘でしょ…もう。本当に……」


音声が入る。


[本当に良いのか?]


「射線は通ってないし大丈夫だ。」


[ま、これも仕事だ。鷹には悪いけど鶏になってもらうか。]


キレた。

音声はもう保存してある。

あとは、証拠を残さなければ良い。

場所はわかっている。

ハンドガンを持ち、完全装備で一軒家から出る。

完全装備だ。

強化外骨格をガラスナノマシンでコーティングした強化外骨格が物陰に潜む。

スコープの先には今はなにもない。

しかし、静かな音が近づいて来たと思ったら突然トラックが走ってきた。

神経が反応したのを理解した。

撃った。

当たる。

これならば、当たる。

ハンドガンのトリガーを引き、ストックが後退し、水平に戻る前にトラックを見る。

マンションに突っ込んだ。


「生きてるかな?」


トラックの窓はミラーガラスになっておりまったく見えない。

ナイフとハンドガンを両手に持って少しずつ近づき、窓を撃った。

ミラーガラスの中はもう終わった。

トラックの中から音がする。

強化外骨格の足音だ。

トラックのコンテナが割れた。

ハンドガンもついでとばかりに割れた。


「チッ!」


バックブラストで逃げる。

が、間に合わなかった。

理解できない。

迸る濁流が体を飲み込み、ナイフへと流れて強力な電流がナイフを変形させた。

そこに透明な物が出現し、ナイフを切り裂いた。

強化外骨格のブラストシステムが誤作動し、空中に体が浮く。

運が良かった。

刀だ。


「侍か!?」


強化外骨格が誤作動を中止し、再起動を始めた。


「サムライ?」


相手が現れた。

濁流の中から歪みながら現れたのは騎士の見た目をしていた。

白銀に金の装飾で美しい。

汚れ一つ無い強化外骨格の鎧がそこにあった。

しかし、武器は刀だ。

こちらはナイフとプラズマナイフのみ。

勝てなくても逃げれたら良い。


「私は、騎士だ。」


そう言い、刀を鞘から抜いた。

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