第14話
ダンジョンからは宝が湧き出る。
どこの誰が入れたのかは分からないが、ダンジョン内にぽつんと宝箱が置かれているのだ。
その宝箱には罠が仕掛けられていることもあるが、開けると中に何かしらの物が入っている。大抵は価値のある物が入っているが、浅い層だとゴミ同然のガラクタが入っているだけのこともある。
そして以前宝箱があった場所に行くとまた再び宝箱が中身入りで置いてあったりするのだ。
何故ダンジョンというものはひとりでに宝箱が湧き出るのか解明しようとした者もいるが、結局分からないので皆その恩恵にとりあえず与ることにした。レプラコーンの幻の金貨のように地上に出たら宝が消えてしまうという訳でもないのだから。
宝箱の中身は潜る層が深ければ深いほど貴重な品になると言われている。中にはたった一つの宝箱の中身だけで一生遊んで暮らせるほどの財産を得た冒険者もいるらしい。
故に一攫千金を夢見てダンジョンに潜る冒険者が絶えないのだ。
あれから数日後、城に続々とフロアマップが届くようになった。
ソロ攻略禁止の看板が功を奏したのかは知らないが、ダンジョン攻略は順調に行っているようだった。
今のところダンジョン内で冒険者が死んだという報せもない。
一番早いのはクレイヴだ。
なんと彼はいの一番に三階まで到達してしまった。
ただし彼は下へと降りる階段を見つけるなり下へ降りるタイプの人間のようで、ところどころ抜けが多い。
それでもフロアをくまなく隅々まで探索する性格の冒険者もいるので、それらと突き合わせれば一階に関してはほぼほぼ正確なマップが出来上がりそうだった。
冒険者たちのマップを突き合わせて正確なマップを作る作業は何でもできる爺やに任せているが、その作業はボニーに見て学ばせている。
冒険者ギルドが出来るまでの間、事務作業を担う人間が必要だからね。
冒険者たちの発掘してきた宝や魔物の素材を狙って買い取り商も何人か村を訪れている。
買い取り商とはダンジョンから発見された宝物や魔物の素材を専門に扱う商人のことだ。
冒険者ギルドさえできれば冒険者はギルドに発見した物を売り、ギルドが買い取り商に売るという流れになる。
だが今はギルドがないので冒険者が直接買い取り商に売ることになる。
ギルドを間に挟まない分高く売れることもあるが、その反対で商人に騙されることもある。
まあ、今の段階ではギルドがなくても探索で儲けた冒険者が色々な施設を利用して金を落としていってくれるだけで美味しい。
冒険者から金を搾り取る為には娯楽施設もいずれ必要になってくるだろう。
ともかくグリーンヴィレッジはダンジョン村として軌道に乗り始めた。移住希望者も続々と集ってくることだろう。
焼きたてのパンが食べたいからパン屋が来てくれないかな、と僕は想いを馳せた。
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五ヶ月目 領主アントワーヌ・クラウセン
ダンジョン:3Fまで踏破
領地の設備:城、宿屋、酒場、武器屋、防具屋、道具屋、水車小屋
領地の繁栄度:初々しいダンジョン村。まだまだ発展の余地あり。
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