第25話
瑠偉ちゃん、親子の関係ってとても難しいと思いませんか?
私には娘が一人います。瑠偉ちゃんと同じように、悩める思春期を過ごしていました。初めて瑠偉ちゃんを見かけた時、娘の姿と重なりました。私の娘も瑠偉ちゃんと同じ学校でした。着ている制服だけではなくて、悩みを抱えている様子も同じだと思いました。だから、ついつい、おっせかいをしてごめんなさいね。
娘は第一志望の大学に合格しましたが、その後、大学院には進めず、不本意ながら就職しました。そこで出会った人と結婚しましたが、夫の反対をおしきって家を出てしまいました。夫と娘の間で私はおろおろするばかりで、挙げ句、娘に「お母さんは自分がない。」と言われる始末です。
考えてみれば、私は精一杯、娘を可愛がってきたつもりでしたが、娘の盾になって戦ったことはありませんでした。舅、姑が、中学受験で思うような結果がだせなかった娘に辛くあたった時、側にいながら、黙って娘と一緒に耐えていただけ。そんなの母親失格ですよね。
私が舅、姑に反論出来なかったのは、口答えをしたことが夫の耳に入り、夫を怒らせるのが嫌だったから。後で、一生懸命、娘を慰めても、娘にとっては、さぞ、情けない母親に見えたと思います。よくよく考えれば、娘が家を飛び出してしまったのは、私にも原因があります。ただ、私はずっと夫、舅、姑を恨んでいました。
でもね、瑠偉ちゃん、ありがたいことに、娘が私を頼ってくれたんです。本当に嬉しかった。だから、娘のところにかけつけました。これからは、もっと、娘の気持ちを考えていきたいと思っています。
瑠偉ちゃん、河上奈緒は私の娘です。雑誌で奈緒のことを見てお手紙をくださったこと、奈緒は本当に喜んでおりました。
奈緒さんがおばさんの娘さんだったんだ。
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