第23話

こんな言い方をしてごめんなさいね。

気が弱かった私は、一人っ子でわがままな阿紀さんに何かと押されぎみでした。阿紀さんが意地悪だと思ったこともあります。

でも、阿紀さんと遊んでいて楽しいことがありました。阿紀さんはお話を作るのがとても上手でした。幼稚園のころはウサギやくまのぬいぐるみ、お人形などを使った「ごっこ遊び」が阿紀さんの一番のお気に入りでした。セリフは全部阿紀さんが考えていました。私は子供心に、よく次から次へとセリフを思いつくものだと、感心していました。

小学校は家から遠くて、子供の足で歩くと片道三十分はかかりました。阿紀さんと一緒に通いましたが、学校までの道中は、阿紀さんが作る物語を聞いて歩いていました。六年生のころには長いお話を作るようになって、そのころには私もお話作りに参加していました。妖精が出てくる物語で、妖精の名前や容姿、特技まで、二人でいっぱい考えました。

ただ、残念なことに、楽しい時間は小学校卒業まででした。阿紀さんと同じ中学校を受けてしまって、私は落ちてしまいましたから。私は地元の中学校に暗い気持ちのまま入学して、それからは阿紀さんと一緒にならないように考えて高校、大学を選びました。私は阿紀さんほど勉強も運動もできないことは自分でもよくわかっていましたから。そのうちに、母親同士も、私と阿紀さんもすっかり疎遠になりました。





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