第11話
このところ、頭のいたい問題がある。今、高校一年の秋。二年からのクラス編成の希望届を提出しなければならない。しかも親の署名、押印が必要だ。確かに学費を払ってもらっているには違いないが、進路まで束縛されたらかなわない。
結果は見えている。上にある大学に行っておきなさい。そのかわり、理系の学部にするのよ、ママの権高な声が聞こえてきそうだ。
ママは数学の教師で、超進学校で教えている。厳しい指導で、必殺仕分け人と揶揄されているそうだ。ちなみにパパは国語の教師で、生徒に甘く、仏とあがめられているそうだ。同じ学校で、仕分け人と仏だって。娘としてはどちらも嫌だ。
このところ、私はおばさんの家で沈没して、この件に関して愚痴をこぼしている。
「どうして、仕分け人なの?」
おばさんが紅茶のおかわりをいれてくれた。優しい目で私を見ている。
「ママに駄目って言われた子は理系のクラスを希望するのをやめるんですよ。確かに、聞いてたらやめたほうがよさげな感じもする子だけど。」
「人に言われてやめたくなるくらいならむいてないのかも。」
確かにそうだ。
「好きこそ物の上手なれというでしょう。まず、何事も好きでないと始まらないわ。」
今日のおばさんはよくしゃべる。
「瑠偉ちゃん、自分のしたいこと言わなきゃ。大変だろうけど、頑張って。自分を大事にできるのは自分だけだから。」
ママと戦わなきゃ。避けては通れない。
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