第10話
おばさんと知り合って、三ヶ月がたった。おばさんは、どうも一人暮らしのようだ。代々続いた立派な家のようだけど、こんな大きな家で一人で寂しくないのだろうか。それに、おばさんの口から家族の話しが一言もでない。ひょっとして身内を亡くした人なのだろうか。
人にはそれぞれ事情というものがある。知りあったからといって立ち入ってはいけないことがある。でも、おばさんは、何故か私のことを気にかけてくれている。おそらく、私が通りかかるのを待ってくれているような気がする。
ママやパパも忙しいからといって私のことを忘れているわけではない。私立の学校に通えるのだし、新築の家に住めているのだから。でも何だろう。心が冷えることがある。
家族だからといって、何でもわかりあえるわけではない。そもそも、私は家族の一員か。今度の引越しだって、私に何の相談もなかったではないか。
ママが田舎の暮しを嫌っていたのはわかってた。パパもきっと同じだ。だから祖母が亡くなってすぐに前の家を売ったんだ。以前から考えて準備していたんだ。私と祖母に内緒で。そんな風に心が冷え冷えしていた時だったからおばさんの気遣いが嬉しかったのだ。
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