第8話

それから、おばさんの家にちょくちょく寄るようになった。朝は八時におばさんの家の前を通ってバス停に行く。通りからおばさんの姿が見えたら挨拶をする。資源ゴミの日は、ゴミ置き場でおばさんと言葉をかわしてから見送ってもらう。学校からバスで帰ってくるのが午後四時。おばさんが、庭の草引きをしているところを見つけると声をかける。

私は中学校から大学まで続いている私立に放り込まれいて、今は高校一年生。文句をいわなければ、超有名ではないけれど、それなりの大学が上にある。ただ、何となく学校になじめない。口先だけクラスメートと話しを合わすのにいささか疲れている。

ママにうるさく言われるけど、クラブ活動に命をかけるのはごめんだし、勉強は嫌いだし、毎日がただただ無駄に過ぎていく。祖母が亡くなったことで、家事はいつのまにか私の仕事になった。

「せっかくエスカレーターの学校に行ったのに、部活もしないで。だったら家のことくらいしなさい。」

ママとは、本当にあわない。そう言えば、祖母が

「仕事をしてたらそんなに偉いのかねえ。」

と、よくこぼしていたっけ。わかる。本当にママは私にもパパにも上からものを言う。

祖母にある程度の家事を仕込まれたので、家事はそれほど苦にならないが、ママは褒めてもくれないし、家事を始める前におばさんの家に寄ってエネルギーを充電するんだ。

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