第5話

おばさんに傘を貸してもらった二日後の日曜日、幸い両親が仕事でいないので、傘を返すためにおばさんの家を訪ねることにした。手土産といっても、少ない小遣いでは用意できない。そこで、小学校の時に祖母に教えてもらったういろを作った。

小麦粉と砂糖を混ぜて水を加え、レンジで蒸すだけだ。型は牛乳パックだが、ういろが冷めてから、ありあわせの包装紙につつみ、たまたまあった小綺麗な紙の手提げ袋に入れた。私服ではなく、あえて学校の制服を着た。

私は何故こんなことをしているんだろう。確かに何度か親切にしてもらったには違いないが。

でもいいのだ。何故かわからないが、私はあのおばさんに会って話してみたくなったのだ。それでいいじゃん。

おばさんはこんな手作りのういろを喜ぶかな。ママはばあちゃんのういろをあまり食べなかったけど。

あれこれ考えながら歩いていると、おばさんの家の前まで来ていた。


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