第5話
おばさんに傘を貸してもらった二日後の日曜日、幸い両親が仕事でいないので、傘を返すためにおばさんの家を訪ねることにした。手土産といっても、少ない小遣いでは用意できない。そこで、小学校の時に祖母に教えてもらったういろを作った。
小麦粉と砂糖を混ぜて水を加え、レンジで蒸すだけだ。型は牛乳パックだが、ういろが冷めてから、ありあわせの包装紙につつみ、たまたまあった小綺麗な紙の手提げ袋に入れた。私服ではなく、あえて学校の制服を着た。
私は何故こんなことをしているんだろう。確かに何度か親切にしてもらったには違いないが。
でもいいのだ。何故かわからないが、私はあのおばさんに会って話してみたくなったのだ。それでいいじゃん。
おばさんはこんな手作りのういろを喜ぶかな。ママはばあちゃんのういろをあまり食べなかったけど。
あれこれ考えながら歩いていると、おばさんの家の前まで来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます