第6話 目線②

祖父が救急搬送され、頭部CT画像を救急科の医師から見せられた

右側の脳がきれいに、みごとに、半分出血していた

「長くない。今夜か明日か。」と言われた


孫としての私は

(おじいちゃん、大丈夫。早く元気になって家に帰ろう。)


看護師としての私は

(脳の半分すべてダメになっている・・・もうムリだ・・・)


両方、思ったけれど

祖父を前にすると、私は孫である


「おじいちゃん、いつもの口癖 なにくそ って言ってよ。早く家帰るよ。」


ICUにいる祖父を見て

声をかけても返答もなく

右足はピクピクと細かく痙攣

左側は完全にマヒ


この姿を見ても私は孫

「うちのおじいちゃんは大丈夫。早く帰ろうよ」


家族を前にすると、私は看護師ではない 

看護師にはなれない










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