第27話
墓参りをおえて良子が帰宅すると玄関先に久美が立っていた。
「よっちゃん。おかえりなさい。」
久美は嬉しそうに笑った。
「不加減だけど、お豆をたいたの。切り干し大根とひじきの煮物も作ったから。」
と、手提げ袋を良子に渡した。ずっしりと重い手提げ袋の中には、おかずを入れたタッパーのほかに果物や菓子、缶詰めや瓶詰めも入っている。
「こんなにたくさん、いつも悪いわね。」
恐縮する良子に
「いいの。一人では食べきれないし。」
と久美はおっとりと笑っている。
良子は、久美がおかずやほかにも色々と持って来てくれるのは、墓参りに行った日が多いと感じている。もちろん、美容室が忙しい時もさりげなく、おかずを差し入れてくれる。家が向かい合っているので様子がわかるのだろうが、久美は余計なことは言わない。
良子は久美の気遣いをありがたく思いながら、自分は久美のために何かできているだろうかと自問している。
「よっちゃん。明日の朝一番なら頼めるかな?」
「もちろん。待っているから。」
久美はうなずいて、帰って行った。
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