第16話
久美のことを心配しつつ、良子と光代は相変わらず、慌ただしい日々を過ごしていた。三週間がたち、美容室が休みの日、良子は光代を誘って、例のショッピングセンターに行った。
「良子、久美ちゃんに会ったらどうしようかね。」
「おばあちゃん、普通に挨拶しようよ。たとえ二人連れでも。私達は変な目で見るの、やめようよ。」
「何だかドキドキするよ。どうしてかね。」
と、二人で言いつつ、その日は何事もなく、買い物をして、お茶を楽しむことができた。
良子の車は工務店の駐車スペースにとめることになっている。光代が一足先に、買いこんだ食材を持って車から降りて自宅の方に歩いて行く。
「おばあちゃん、無理しないで。私も持つから。」
良子が後から追いかけると、光代が立ちすくんでいる。
「どうしたの、おばあちゃん。」
光代があごをしゃくった方を見ると、男性らしい人影が自宅の周りをうろうろしている。
夕方で薄暗いが、良子は目を凝らして人影を見た。
「潔さんですか?」
「はい。突然すみません。」
久美の夫の潔だった。
「ちょっと、お買い物に行ってまして。どうぞ。」
良子は、急いで玄関を開けた。
「少し、失礼します。」
潔はもそもそ言いつつ、中に入る。思いがけない訪問者に光代は言葉が出ない。
「本当に、突然すみません。」
潔は何度も頭を下げた。光代、ただただ、目を丸くしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます