第8話

 良子と久美を送り出してから、光代と勇は貰い物の日本酒を引っ張り出してきて二人でちびりちびりと飲んでいる。

「まったく、久美ちゃんとこはどうなってんだろう。親が二人とも逝って夫婦だけになったのにさ、どうしてこうなるかね。もっと親子で仲良くすればいいじゃないか。潔さんってのは大学の先生なのにさ、女房、子供、幸せにできないのかね。」

光代は日本酒のせいか饒舌である。

「奈緒ちゃんは勉強できて、潔さんと同じ大学に一発合格だろ。大学院に落ちて予備校の先生になったぐらいで何が不満なんだか。ダンナはアルバイトの大学院生だったらしいけど、メーカーに勤めたんだろ。なんで反対するかね。うちの子供はみんな勉強嫌いで、潔のお袋さんが生きてた時はにばかにされたな。久美ちゃんはいい人だけど、俺は本家の奴らも泉澤のご親戚も嫌いだな。」

勇も負けていない。

「だからさ、私達は別の生き方をするんだよ。良子との結婚も認めただろうが。」

「お袋様、恩にきております。」

勇が光代に酌をする。母と息子でお酌を繰り返していると子供達が帰って来た。

「おばあちゃん飲み過ぎ。」

「親父も、年を考えろ。」

「不良婆と不良親父だねえ。」

 それぞれに、食事を温めて食べたり、風呂に入ったりと、賑やかに時間が過ぎる。光代は自分のスマートフォンから良子にラインをする。

「三人とも無事帰宅。安心されたし。」

それを見て、隣の家では、良子と久美が笑っている。

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