第7話

 良子の家では、朝食とは違い夕食は家族全員でというわけにはいかない。子供達は基本的に帰宅時間が遅い。美容室に勤める長女の麻衣は特に帰りが遅く、夜の十一時を過ぎて帰宅するのはざらだ。美容専門学校の学生の由衣は良子と光代がとめているのだが、勉強になるからとアパレル関係でアルバイトをしている。

 大抵は子供達の食事は冷蔵庫に入れておく。それぞれ帰宅してレンジで温めて食べるが、時々、勝手に外食をされて、光代と良子夫婦でぶつぶつ文句をいいながら残り物を食べることもある。長男の勇一は、最近外食が多い。仕事場で父親と一緒にいることが多いので息がつまるのだろう。

 夫の勇だけが帰ってきて、光代、良子、久美で久しぶりに賑やかに夕食をすませ、後片付けを光代に任せると、良子は久美の家に移動した。普段は久美と潔は母屋の二階で寝ているが、一階の座敷に布団を二組敷いて、女二人で大の字になる。久美の好意でお風呂も久美の家で入らせてもらって良子は思いきり浴槽で手足を伸ばした。

「ありがとう。久美ちゃんとこは広いからのびのびするわ。」

という良子に

「やたら家が広いのもどうかと思うわ。なんかわびしい。」

と久美はため息をついた。

「奈緒ちゃん、どうしてる。相変わらず?」

「私には電話とかメールとか、週に三回くらい連絡くれるの。」

「やっぱり奈緒ちゃんはいい娘よ。あんなことがあったってお母さん思いだよ。」

「そうかな。」

「大丈夫。久美ちゃんは奈緒ちゃんのことを一番大事に思ってきたんじゃないの。潔さんの反対を押しきって結婚したけど、久美ちゃんとの関係まできれないよ。」

良子の言葉に久美は涙ぐんでいる。

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