第4話

 久美を美容室に招き入れ、鏡の前に座らせると、良子は

「ごめんね。うちのおばあちゃん、うるさくてさあ。」

と笑った。

「ううん。おばあちゃんはいい人よ。だって法事の時もいつも助けてくれて。」

久美の夫の両親が相次いで亡くなって十年以上経っている。

 光代が、久美ちゃんもこれで助かるよ、偉そうで、冷たくて、おまけにケチで嫌な夫婦だったけど、二人とも久美ちゃんに世話をかけずに、急にぽっくり逝ったことは褒めてやるよ、とお葬式の帰りに言ったのを良子はよく覚えている。

 久美の夫の潔も良子の夫の勇も一人息子で、法事などの時は手が足りない。続柄からいうと随分離れているが、家が近く、本家、分家の間柄なので、何かと手伝い合う。

 ただし、本家の手伝いに光代と良子、場合によっては勇も駆けつけるのだが、逆の時は久美だけだ。だから、光代は怒るのだ。ただ、久美のことはいつも案じている。

「おばあちゃん、立ち入ったこと聞いたりしてない。」

「いいの。おばあちゃんは本当に心配してくれてるの。夫婦二人になっても何もかわらないし。」

久美はため息をついた。

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