第4話
久美を美容室に招き入れ、鏡の前に座らせると、良子は
「ごめんね。うちのおばあちゃん、うるさくてさあ。」
と笑った。
「ううん。おばあちゃんはいい人よ。だって法事の時もいつも助けてくれて。」
久美の夫の両親が相次いで亡くなって十年以上経っている。
光代が、久美ちゃんもこれで助かるよ、偉そうで、冷たくて、おまけにケチで嫌な夫婦だったけど、二人とも久美ちゃんに世話をかけずに、急にぽっくり逝ったことは褒めてやるよ、とお葬式の帰りに言ったのを良子はよく覚えている。
久美の夫の潔も良子の夫の勇も一人息子で、法事などの時は手が足りない。続柄からいうと随分離れているが、家が近く、本家、分家の間柄なので、何かと手伝い合う。
ただし、本家の手伝いに光代と良子、場合によっては勇も駆けつけるのだが、逆の時は久美だけだ。だから、光代は怒るのだ。ただ、久美のことはいつも案じている。
「おばあちゃん、立ち入ったこと聞いたりしてない。」
「いいの。おばあちゃんは本当に心配してくれてるの。夫婦二人になっても何もかわらないし。」
久美はため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます