第2話


 慌ただしい朝食が終わり、夫と子供達がそれぞれ仕事や学校へ行った後は、姑の光代と分担して家事をする。朝食の後片付けや洗濯が終わると、光代は自宅の北隣の泉澤工務店へ、良子は自宅の南隣にある美容室IZUMISAWA に移動する。昼はそれぞれの場所で弁当を食べる。

 工務店にはアルバイトの事務員がいるのだが、光代は引退する気はない。御年七十五歳でパソコン教室に通い、皆の足手まといにならないように努力している姑に良子は一目置いている。

 良子は長男の勇一が産まれたのを機に、勤めていた美容院を辞め、三年前に亡くなった舅の援助で自分の美容室を持った。子育てと美容師の両立は大変だったが、光代の協力で乗りきってきた。勇は一人息子で、他に頼るところはない、あんたも覚悟を決めて、嫁に来ておくれと言われた時は仰天したが、なるほど、結婚とは覚悟がいるものだと五十三歳のこの歳になればよくわかる。

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