決着
‡
白い巨像の
その威力は『ウルスラ』の防壁や耐性を上回り、天使の
それでも、少しの間をおいて再生が始まります。
「あなた様、チャンスは一度です。『バルフート』が斬り込んでから修復される前に、わたくしの
ヒツギ様は難しい顔をしながらも頷きました。
わたくしは彼に向き直って優しく声をかけて。
「……そんな顔をしないでください。あなた様にはこの世界のわたくしがいます。これは、本来あるべき形に収まるだけの話なのですから。」
本音を言えば、愛する彼の傍から離れたくはありません。
けれど、わたくしはこの世界にはいないはずの存在。
また、今まさに『バルフート』の内部で苦しむヒルドアリアを追い立てたことに対する己のけじめとして。
わたくしもヒツギ様への献身と信念を示す時なのです。
♤
天使の
赤い羽根の槍を弾幕として、こちらの動きを狭めながら強力なブラスターで撃ち落とそうとする。
白い巨像の
……不意に黒い
《俺が明確に意思を取り戻したのは、北東部都市でお前と拳を交えた時だった。俺は全てを瞬時に理解した。エノテリアともう一人の俺が共に転生した存在なのだと。そして、彼女をお前に任せようとも考えた……》
そこで『ザルクシュトラール』は一呼吸おいてから続ける。
《しかし、俺もまだまだだったな。
「……参ったな。クランとの情事はエノテリアに見られて、エノテリアとの行為はもう一人の自分に見られていたのか。」
これでは何か、変な性癖に目覚めてしまいかねない。
黒い
《――
『バルフート』は背部のカチューシャ砲で『ウルスラ』の頭部を狙い、爆風で視界が遮られた瞬間――
全力で再接近を開始し、右手の大剣で真一文字に天使の胸部鎧装を斬り裂いた。
《ヒツギ、この世界のクランを……幸せにしてやってくれ。》
最後の言葉を告げ、『ザルクシュトラール』は弾丸のごとき速さで飛び出して、破壊した鎧装から内部へと突撃し――
その勢いは『ウルスラ』を背中から地に落としてしまうほどだった。
そして、
「……がぁっ!?何をするつもりで……いや、この力はまさか……!」
俺は『
「ヒツギ……クランフェリアを
起き上がろうとする『ウルスラ』を背後から襲う影。
十二枚の赤い翼を切り裂きながら、八本の
「くひひっ!やっと捕まえた――もう絶対に逃がさないよぅ!」
パフィーリアの
上半身が人型の女王アリは地を這って、虎視眈々と待ち受けていたのだ。
「アルスメリア、俺は君のことを何も知らない。恨みもない。しかし、君が作ろうとしている……犠牲の上に成り立つ世界を受け入れることもまた出来ない。」
クランとエノテリア、そしてヒルドアリアの想いを胸に。
『バルフート』は体躯の倍はある大剣を上腕に振り
「これで……決着だっ!」
――その一撃は、黒く染まった天使の
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