神鎧お披露目
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いよいよ神鎧お披露目が始まった。
クランフェリアを含めた七人の巫女神官は、大聖堂前大広場の壇上へ序列順に並んでいる。
俺はというと、彼女達の補佐官とともに壇の傍らに控えていた。
クランから貰ったメモを片手に開いて、巫女神官達の説明を読みながら儀式を眺めることにする。
彼女の文字は全体的に丸めの可愛い字だった。
「さてと、なになに。『あなた様へ♡』?」
清楚な少女は意外とお茶目なところがあるようだ。
壇の下には集まった数多くの信者が所狭しと立ち並び、固唾を飲んで見守っている。
最初に動いたのはもちろん、筆頭巫女神官のアルスメリアだった。
彼女は前に出て信者達を見下ろしながら片手を上げると、空へと閃光を放って
「――顕現せよ!
威厳ある声色とともに現れたのは二十数メートルを超える十二枚の真紅の羽根を持つ白い天使型の
彼女の
彼女の信者達はその神々しさに涙を流して祈り、中には卒倒してしまう者もいた。
次いで、二位巫女神官のヴァリスネリアが前に並び立った。
彼女は大仰に両手を広げて、よく通る声で叫んだ。
「――刮目せよ!我が
途端に強い耳鳴りを感じ、気づくと彼女の後ろには十数メートルの異形の
パイプオルガンのような砲塔を背負った腹部に人の顔を持つ白い大蜘蛛でなんとも不気味だ。
しかし、彼女の信者達は手のひらを組み、不思議と目を輝かせて喜んでいた。
次に前へ出たのは三位巫女神官のクランフェリアだ。
「――主の御心のままに……!」
彼女は両手を差し出すと眩い後光を発した。
光の中から四枚の花弁のような肩部装甲で覆われた白い人型巨像の
クランの
穏やかで優しいクランと相反して『バルフート』は近接防御火器や三連の大型機関銃、カチューシャ砲など強力な銃火器による武装を全身に備えている。
人型兵器というべき力強い勇姿を見て、信者達は大きな歓声を上げた。
続いて前に出た四位巫女神官のヒルドアリア。
「――いきますよ、『バリスタ』!」
彼女の周囲から円を描くように焔が吹き上がると、二十メートルを超える体躯の鎧装に包まれた白い不死鳥型の
『ベルグバリスタ』という名の
風変わりだが信者達は皆、有難がって拝んでいる。
その次に前へ出たのは五位巫女神官のパフィーリアだ。
巫女神官の中でも最年少の少女の出番に待ちわびた信者達が一斉に沸いた。
少女は両手を
「――おいで!『クインベルゼ』!!」
強風が吹き荒れて現れたのは、七メートルほどの蝿を彷彿させるシルエットで二対の
悪魔さながらの尊影にも関わらず、信者達は少女を神の子と揶揄して崇拝していた。
そして、六位巫女神官のエノテリアが静かに前へ出る。
彼女は無言のままに、足元の影が伸びて迫り上がり三メートルと小型だが唯一、漆黒で鎧装を纏う人型の
彼女の信者達は屈強な軍人が多いようで、みな一様に敬礼していた。
最後に前へ出たのは七位巫女神官のラクリマリア。
優雅な立ち振る舞いで謳うように言葉を紡ぐ。
「――示しなさい、貴方の守るべき尊厳を!」
突如、彼女の頭上から四本の大剣が輪になって出現して地に突き刺さる。
その中心から四メートルほどの甲冑を纏った人型の
勇壮な白い騎士の
信者達は娯楽を楽しむように喜び、拍手喝采して賛美を送っていた。
七人の巫女神官と七体の
なかなかに迫力があり、信仰ともども熱狂するのもうなずけた。
「――主と
二位巫女神官ヴァリスネリアは大広場に響き渡るほどの声量で祈りの言葉を唱えた。
クランのメモによると彼女は音に関する特殊な『
派手な服飾に大仰な言動と相まって、民衆や信者への窓口としてなるほど適任だ。
やがて百匹を超える白い鳩が放たれて、巫女神官達が個別に聖別をするために移動を始める。
補佐官達も動き出したところで俺もクランの元へと向かった――
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