第9話

少しだけ居心地が良くなった仕事場でいつもよりちょっぴり真面目に仕事をしていると佐藤さんがまた缶コーヒーを持ってきて


「お疲れさん。調子良さそうだな!」


いつも通りにっこり笑顔で話をかけてくれる


「おかげさまで」

そっけなく返してしまう俺はまだまだだ


「いやぁ変わったな!いつもならいやそんなって否定から入ってるからな。良い兆候だ!」


「いやそんなことは」

「今否定かい!まあいいやこの調子でやれ!俺はブレイクタイムだ!笑」


豪快に笑いながら事務所のある3階のフロアを出ていく。

おそらく屋上にいったのだろう、あそこは風が心地よく俺もリフレッシュに行ったりしてる

あぁあの人みたいに仕事ができるようになれればなぁ

「なれる、なれるともさ!そりゃなんだってね!」


…ちょいちょい気になってたんだけどなんで心読めんの?


「え?えーっと読んでないのさ?」


…今喋ってないんだが、まぁいい


今は仕事に少し集中したいんだ

無視してキーボードを叩く

よし手がけてた書類がもうそろそろひと段落するな

ふと窓を見ると上から何か塊が通り過ぎた。


ドンッ!


鈍い音と続け様に悲鳴が響く


何事だ?

皆が窓に群がり下を見てざわついている。

その後誰かが驚愕した顔と共に呟いた

「佐藤?」

強烈な悪寒と共に皆を掻き分け窓から身を乗り出し下を見ると佐藤さんが倒れているのが見えた。

事務所の入っているフロアは3階でありこのビルは5階建となっている。


「龍、上だ上にいくのさ」


「どういうことだ?」

「あの兄ちゃんを殺ったヤツがいるのさ」

パニックになる事務所を抜け出し階段を二段飛ばしで駆け上がる

「龍、これからは戦いさ覚悟するのさ」

意味がわからないが犯人がいるなら逃すわけにはいかない


屋上のドアを開けるとそこには見慣れた顔だが見たことない表情の同僚がニタニタ笑いながら立っていた


「あぁ君だっタのか。苦労するネぇお互いに特別だト」

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