同姓の美少女からファーストネームで呼ばれる
茶黒
第1話
きっかけというのは、往々にして些細なものだ。
そして、クラスで人気の美少女とファーストネームで呼び合うことになったきっかけも例に漏れず──。
◇
集中力が薄くなってくる六限の国語では、担当教師の体調不良により代理の先生が来ていた。
その先生がこのクラスの授業を担当するのは初めてで、クラスの生徒の名前は一人も知らない。
ある問題の答えを訊こうと、教室後ろ側の壁に貼られた、名字だけの席表から
「
「「……はい」」
一人は端正な顔立ちで、溢れんばかりの爽やかさを湛える男子。
もう一人はつぶらな瞳を持ち、あどけなさが残った可愛らしい顔の女子。
一組の男女が、同時に返事した。席が隣の彼らは、互いに目を丸くし、顔を見合わせた。
「──先生ー、羽宮さんは二人います!」
と、そこで一人の男子生徒が彼らをさておき、声を上げた。
「あ、そうなんですか──」
普通ならここで終わるミス、だったが……。
次の一言が、原因だった。
「──双子ですか?」
瞬間、クラス中の人が爆笑し、先生も冗談だと笑った。
その後だった。
同姓の美少女からファーストネームで呼ばれる 茶黒 @kuisa_913
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