第11話聞こえる声

神社境内 鳥居付近


 時は少し遡る。

 雫が雪音を六花堂内に招待し、傷の手当てをしていた頃。

 同時刻鳥居近くで何やら子供の話し声が聞こえていた。

 『さっきのって人間だよな?雫のやつなんでここにつれてきたんだ?』

 『……また雫様の事呼び捨てにしちゃって……、ひょう、ちゃんと敬称つけて呼ばないとダメだよぉ……』

 『今はそんな事よりあの人間の事だろ?相変わらずあられは臆病だな。雫は呼び方ぐらいでいろいろ言わねえよ』

 『……そう言う事じゃないのに……』

 一つは雹と呼ばれた男の子の声。

 やんちゃで元気いっぱいといった感じだが男の子だからなのか、少し口も悪いように感じられた。

 もう一つは霰と呼ばれた女の子の声。

 恐がりでびくびくとした声色であり、一緒に話している男の子に対しておびえているように感じられた。

 二人の子供の会話を聞いただけでは今ひとつ二人の関係性は解らなかったが、雫とは何らかの関係を持っているようだった。

 『霰、あの人間どうやって追い出す?』

 『……雹は何でもう追い出す前提なの?……雫様のお客様かもしれないのに……』

 姿は見えないのにどこからともなく聞こえて来る子供の声。

 この子供の声はいったいどこから聞こえてくるのか。

 果たして人の耳には届いているのだろうか……。

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