第2話

 授業も特に問題なく終わり放課後になった。


 既に葉を落とし茶色の柱になってしまている木々を横目に、俺たちはまっすぐカラオケ店に向かった。


 ここは、この辺りで唯一知っているカラオケ店だ。特にこれといった特徴がある訳では無いが、特に求めてもいないしこれでいいのである。


 暖かい部屋の中、まったりほっこりしていたいが、時間制限があってしまうので、俺は行動に移る。


 無言で立ち上がり、部屋を出て行く。翔平はそんな事眼中にも無さそうだ。どうせ何を歌うか悩んでいるのだろう。結局ボカロばっかなのに。


 さあ、目的地はここ、ドリンクバー。メロンソーダにコーラにカルピス、オレンジ・・・・とトレイにどんどん乗っけて行く。あらかた積み終わり満足した所で、帰宅だ。


 来た時同様に静かに入って行く、翔平はまだ気づいていない。


 やはりこれは復讐をするべきだろう(笑顔)

 

 俺は氷を入れたただの水をそっと動かし、翔平の首元に一瞬だけ付ける。こぼしちゃいけないからね。


「アッヒャ」


 今回は短かったな。ようやく耐性でもついたのかな?


「冷てえな、落としたらどうすんだよ!」


「机に落ちてゴンと音がします」


「そんなことが聞きたいんじゃ無いよ」


「はいはい」


「はいは一回だけって習わなかったのか?」


「はーーーーい」


「どうせこの流れを学びましたとでも言うんだろ?」


「Excellent⭐︎」


「はいはいそーですか、そうですね」


「ほら色々飲みもん持ってきたぞ」


「それは、サンキュー」


「おうよ」


 ここまでい つ も の。そして翔平がまだ曲を決めてないまでがワンセットである。


「なぁ何がいいと思う?」


「残酷なテーゼでも歌っとけ」


「あっそれ採用」


 ……最初はボカロを選ばないもセットである。




 今日は一段と盛り上がった。何度かの延長とドリンク補給を挟んだのち、時間的にこれが最後の曲になるだろう。


「そろそろ時間だゾイ」


「そっかぁ何歌う?」


「もち馬ぴょいデュオ」


「知ってた」


「じゃ俺先行でお前が愛馬な」


「おっけ!飛ぶぞ」



「いちについて」


「よーい」


「「ドン!!」」




 カラオケ店を出て、しばらくして……これもまたい つ も の、というやつだった。


「じゃ先帰っておいてくれ〜トイレ行く」


「望月……お前ってやつは……ブレねぇ」


「しゃーねぇだろ?あれだけ飲めば」


「飲まなかったらいいだけやろ」


「やじゃ、ただひたすらにやじゃ」


「はいはい、じゃなた明日な〜」


「ばいちゃ〜」


 翔平が曲がり角を超え見えなくなった瞬間…俺は走り出した。全力で。もちろんトイレに向かって。


「やっべもれるううぅ」


 今回ばかりは異例だが何度かに補給をしたのにも関わらず、俺はトイレに行かなかった。

これは必然的だろ?




 第一目標 コンビニのトイレ


ここは駅から1番近いトイレだ。帰りにちょっと買い物ができるが、今日はちょっと使いすぎたため、抑えたい所ではある。

 

 揚げ物買って帰ろ。


そのまま向かおうとした時………………アクシデントだ………………




こちらヘッド 目標視認 敵勢力なし 目標の確保に向かう メーデー


こちらボディ 確認した 迅速な行動もとむ

メーd いや待て伏兵だ! 食品棚の後ろに隠れていた!?


 20代後半アラサーだ。 わずかな汗、何かに耐えるような真顔 大だ クソが

 

 敵、目標まで残り1m諦めろ そのまま直進 次の目標へ向かえ メーデー


クソガァなんでこんな時な限ってぇぇぇぇぇ



第二目標 公園のトイレ


少し離れたし小汚い……だがしょうがない、このまま悲惨な結果を生む事になるぐらいなら、これも許容範囲ないだろう


 数は2つ


 こんな夜に両方使えないなんて事は流石に無いでしょ



こちらボディ レッド!レッド!危険ラインは過ぎかけている!迅速な行動を メーデー


こちらヘッド 安心しろ 目標目の前 間に合う 勝利の帰還にはなり得なかったが、充分な範囲だろう メーデー


 

 俺が意気揚々と、だけど全力で急ぎながら、公園の入り口のガードレールを超えたあたりで、イカれた光景が目に浮かんだ………





アクシデントだ!トラップだ!デンジャラスだ!


こちらヘッド 不味いぞ 目標内から喘ぎ声が聞こえる!? これはマジのやつだ!?

どうするこのまま特攻してあいつらの快楽となり得るか?このまま諦めるか?どちらにしても悲惨だぞ!


 落ち着け。取り敢えずさらに遠くのトイレに行くしか無い! 

このまま特攻するぐらいならもらs「ボディ不味い本部に消されるぞ」すまない


このまま行って悲惨より、行かずに悲惨の方がマシだ!最悪歩いて帰ればいい!スマホの充電もある!ヘッド1番近いのはUターンして右だ!


公園のトイレだがここに願うしか無い!無理なら土壌でやるぞ もう限界だ

尊厳を守るために尊厳を捨てるんだァァァ



 ほんとふざけんなぁここはお前らの家じゃねぇんだぞ!あぁもうなんでだッ二次創作は二次創作じゃ無かったのかよぉ


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