第5話
「……チュートリアル? まるでゲームみたいな感じで話すんだね」
「にんげん君の世界の知識について少しは知っているのよワタシたち、分かりやすくて理解しやすい言葉選んだつもりなんだけど~」
なんでこちらの事を知っているのかについて疑問に思う、けどそれよりもチュートリアルについて聞くべきか。
「それは助かるね、ならそのチュートリアルについて私でも理解出来るように教えて下さい」
チュートリアルか、なんかスマホゲーのナビキャラをイメージするかも。
いや宙に浮かんだ銃なんていう物騒なナビキャラとかいないか。
「ならここからは私が説明するわ、まあ予想はつくでしょうけどね、これからこの島に小数のモンスターが現れるからそれを倒してもらうわ」
モンスターか。
初めてダンジョンに行った時に戦ったモンスターは大型犬ほどもあるカタツムリみたいなヤツだったな。
視界に入るだけですっごく嫌な気分になった。
それをバットで叩けと言われたから、もうほんとあの金髪女教官は許さんと思った。
少し前に起こったトラウマを思い出しているとダンジョンコアがチュートリアルの説明を続ける。
「これからにんげん君に戦ってもらうのは5体のスケルトン。武器は錆びついたボロい剣や槍を持っていて攻撃を受けると多分死ぬ程痛いから気をつけるように」
「それは嫌だな~、それでそのモンスターたちはこの島に召喚でもされるのかい?」
「ん~~少し違うわね、単純な話こんな小さな島に乗り込まれた時点でこちらは不利すぎると思った方がいいわ、ダンジョンコアの私たちもモンスターから攻撃されれば破壊されるしね」
スケルトンと言えばダンジョンに現れるモンスターの中でも雑魚の部類だ。
その攻撃でもやられるのか、いやっだからこそ私が守る必要があるって事か。
「……なら安全面を考えるなら海の上でスケルトンと戦えと?」
「正確にはこれから現れるスケルトンはボロいイカダに乗って海の向こうから現れるの、だから島にたどり着く前に倒すっていうのがチュートリアルよ」
なるほどそういうことか。
単純に言えばスマホゲームによくあるタワーディフェンスズゲームといったところなのだろう。
現状この島に到着されたらこちらは負けるということなのでその前に倒すわけだ。
ただそれには問題がある。私の武器って金属バットなんだけど。これ持って泳いでそのスケルトンが乗ったイカダに乗り込めてのか?
さすがにチュートリアルでも不親切すぎる。
「私はこの装備のままイカダに泳いで行ける自信もズブ濡れの状態でスケルトンを倒せる自信もないんだけど?」
「そんな無茶なことにんげん君に言うわけないでしょ~言っとくけどダンジョンコアであるワタシたちが死んだらダンジョンは消滅するけど、このダンジョンを守り育てるにんげん君がいなくなればどの道死ぬんだからね~」
「我々は一蓮托生なの、そこのところはちゃんと覚えておいてちょうだいね人間さん」
「…………」
さっきから思ってたけど、そろそろ自己紹介くらいするべきかな?
「話は分かった、あと…そろそろお互いに名前を名乗らないか? 私は一河広樹といいます、よろしく」
「私たちに名前なんてありません、ただのダンジョンコアです」
なんですと?
「う~んけどダンジョンコアが2つあって両方ともダンジョンコアが名前じゃにんげん君…いやヒロキ君も呼ぶときに困るんじゃないかしら?」
そうそう、地味に困ると思います。
「……そうですね、人間は名前がないと不便を感じる生き物ですもんね」
「あっならヒロキ君がワタシたちに名前をつけてよ~」
「お願いしますヒロキさん」
「わっ私が? その手のネーミングセンスにはあまり自信がないんだけど…」
「良いから良いから~~!」
「私もそれでも構いませんよ」
いきなり名前つけてと言われてもな…。
「それならまず質問を、2人は格好いい名前と可愛い名前、あと美しい名前とかならどれがいいですか?」
「格好いい必要はないかな~」
「同じくですね」
やはり口調や声からも女性らしさが感じられたので格好いいは要らないらしい。
ファンタジーゲームにある名前とかをつける度胸はない自分なのでそれならば日本人っぽいので良いかと考える。
左右に浮かぶ黒い銃、それぞれ銃身に紫色のラインとグレーのラインが入ってるので見分けは可能だから間違えることもないと思われる。
「それなら君がハルカで君がアヤメでどうかな?」
グレーのラインが入った銃がハルカ。
紫色のラインが入ってるのがアヤメだ。
理由はなんとなく名づけても変に気恥ずかしくないのを考えたらこんなのが思い浮かんだ。
キラキラネームとかゲームキャラの名前とか普通に提案する事は無理だった。ちょっと恥ずかしさに負けたかな。
「ハルカ……良いと思いますよ」
「うんうん、アヤメね覚えたわ」
「否定的な意見が出なくてこちらも嬉しいよ」
「さて、それじゃあいよいよチュートリアルが始まるわよ~」
「モンスターはどの方向から来ますか?」
「それも私たちなら分かるわ、教えるから気をつけて」
私が頷くとハルカがその銃口をとある方向に向ける、その方向に視線を向けると青い海上のところに光る魔法陣が出現していた。
あの漫画とか出てくるような感じのやつそっくりだ。
そして魔法陣の中から本当にスケルトン達がイカダに乗って現れた。
「あの魔法陣は一体なんなんですか?」
「あれは一種のマジックポータルよ。どこの世界からのものか知らないけど 突然現れるわ。出現する少し前には色々と理由があって私たちダンジョンコアには感知出来るし出現するタイミングとかも手を加える事が出来るの」
なるほどね、チュートリアルって言葉は本当に正しかったって訳か。
理由は不明だが敵の出現するタイミングを弄れるとは大した話だと思う。
「それなら何故いきなり現れてチュートリアルとか守る必要があるって話を?」
「まだまだ大した力はないから弄れるのも高が知れてるのよ~、まああいつらを倒せばしばらくは出てこないから後の話はゆっくりするから~」
「わかった、ちなみに結局はどうやってヤツらを倒せば?」
「もちろんこの私たちを使ってです」
「そうそうっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます