第6話
ダンジョンコアを武器に戦う?
確かにこのダンジョンコアは銃の姿をしている、他にも喋ったり二丁あったりとしてるけど、武器としては扱えると言われても不自然ではない。
銃ならバットよりリーチがかなり長くなってもいるしかし問題が幾つものあるぞ。
「銃なんて完全に素人の私じゃ当てられないってば」
確か素人じゃ数メートル先の的にも当てるのにも苦労するとかって話だ。
それが何十メートルも離れた上に波で揺れるイカダの上にいるスケルトンを狙うとか無理があるでしょ。
「そこは意志を持つ銃であるワタシたちの出番よ!」
「銃口の微調整はこちらでします。ヒロキさんは敵に銃口を適当に向け、こちらが発砲を許可したタイミングで引き金を引いてくれれば当たりますよ」
なる程、それくらいなら素人でもなんとかなりそうか気がしてきた。
少なくともバッド一本で私がスケルトンを全滅させるよりも勝率は高そうだ。
「分かったよ……やれるだけやってみるかな」
「期待してますね」
「男は度胸と根性の精神よ~~!」
そんなんでどうにかなる?
二丁の銃は空中を移動しながら私の元に来た。
ゆっくり移動してくる黒い銃を手にする。重さはあまり感じないな。
後はスケルトンが見える砂浜へと走って移動する。
こちらからよく見える場所まで移動すると当然向こうからも見える訳で、こちらを発見したスケルトンたちがガチャガチャと騒ぎ始めた。
スケルトン、人間のものにしか見えない骸骨が筋肉もないのにカタカタと動きまわってるホラーで不気味で怖いヤツ。
骨しかないくせにその膂力は人間の大人よりも強い。
頭は良くないらしい、脳がないからか?
今もこちらに向かって届くわけないのに手してる武器を自分に向かって投げた阿呆なスケルトンがいた。
武器は海に落ちてしまったよ、何をしたいんだ?
「……あのスケルトン、武器を捨てたね」
「スケルトンは馬鹿だから行動に意味とか求めてもそれこそ無意味よ~」
「さあっ私たちをスケルトンたちのいる方向に向けてちょうだい」
私は言われた通り漆黒の銃口をスケルトンたちに向ける。
二丁とも向ける。
すると確かに向けた銃口が少し自分の意志に反して動いた、今してるのが微調整ってやつか。
「…………今です」
「今よ~~」
「それじゃあ引き金を引くよ!」
手にした二丁の銃の引き金を引いた。青い空に響く銃声。
そして数秒後送れてイカダの上のスケルトンが2体ほどゆっくりと倒れ、海へと落ちた。
仲間がやられたスケルトンは怒り狂いイカダの上からこちらに向かって大きな音を出して騒ぎ立てる。
いやいや普通攻撃されたらイカダから離れて個別に島へと泳いできたりしないの?
……しないんだろうな、何しろダンジョンコアであるハルカとアヤメが馬鹿だと太鼓判を押すモンスターな訳だし。
「通常の攻撃はこんな感じかしら、それじゃあ次は少し強力な攻撃スキルを使って残りのスケルトンを殲滅するわね」
「えっ持ってるの、攻撃スキルを?」
ハルカの言葉に思わず羨ましいと言う気持ちが生まれてしまった。
私は『ダンジョン』しかスキルがないからな。
「ワタシたちはダンジョンコアよ? 戦う為のスキルくらい持ってるに決まっているじゃないの」
「私たちの使うスキル、これもダンジョンの成長と共にその効果が強力になったり種類も増えるはずだから」
「ちなみにワタシ達は銃、つまりは武器なので攻撃スキルに必要なキーワードはヒロキ君に言ってもらう必要があったりするのよ~」
「そう言うものなの?」
「そう言うものよ。私の攻撃スキルは『
「ワタシのは『
「了解した、『黒刃弾』!『黒鎖弾』!」
必要だというキーワードを口にしながら引き金を引く。
すると攻撃スキルの発動が関係するのか銃口から黒い光が発生し、それを纏った弾丸がスケルトンイカダに向けて飛んでいった。
ちなみに必要な大抵のスキルは何かしらのキーワードを口にすることで発動する、念じるだけでスキルが使えるみたいな便利な設定はないらしい。
まあ大抵のダンジョンのモンスターはこっちが何を言ってるのかなんてわからないだろうから攻撃スキルを叫んだからと言ってそのスキルに対応されるという事態はそうそうないらしいが。
黒い光となった弾丸がスケルトンたちの方に向かって真っ直ぐに飛んでいく。
そしてスケルトンたちのイカダにヒットした。
次の瞬間その黒い光から漆黒の鎖が伸びてスケルトン達を拘束した、さらに追撃で大小様々な黒い刃が出現してスケルトン達を切り裂いた。
おお~本当にブレードとかチェーンって感じだったな。
弾丸が当たった箇所から鎖やら無数の刃が出現して自動的に敵を拘束して切り刻むとかえげつない攻撃スキル持ってるな~。
本来攻撃スキルは探索者がゲットしたらまず成功の第一歩と言われるスキルだ、やはりモンスターと直接戦える力っていうだけあり欲しがる人間は多いし自分だってそのスキルが最初は欲しかったくらいである。
だがやはり自分みたいなへっぴり腰は攻撃スキルとかゲットしても大して成功はしなかっただろう。
やはりこの『ダンジョン』というスキルをゲットできたことの方が大きいと思う。
イカダごと細切れになったスケルトンたちは海に沈んでいく、そこそこ離れてたから斬殺バラバラシーンとかよく見えなくて助かった。まあガイコツだから平気だけど。
ダンジョンコアであるハルカとアヤメの攻撃スキル、威力も見た目も凶悪過ぎる。
「はいっこれでチュートリアルは終了よ」
「呆気なかったけど、これからもこんな感じでモンスターを退治していくのかな?」
「雑魚ならね、けど強いモンスターも現れる可能性はあるから元いた世界に助っ人とか期待出来るなら声をかけておいた方が良いかも知れないわよ~」
プライベートでの友達ゼロ人間にとんでもない無理難題を言ってくるなこのダンジョンコアのアヤメさんは……。
「そんな人がいたら良いんだけど、人間の世界ってどこまでも金、金、金、だからお金を用意出来ないとそんな人は現れないと思うんだよ…」
「お金?」
「例えぱこのダンジョンで私が住む世界でお金になるだけの価値のおる物とかが手に入れば、その助っ人とかも用意出来るかもなんですけどね」
「このダンジョンで手に入る物ね……その砂浜に流れ着いてる貝殻とかしかないなわね」
「……貝殻か」
自分は足下にあった綺麗な貝殻を手に取る。
青く綺麗な貝殻だ、集めてネックレスとかにすれば百均とかで売ってそうなヤツになりそうだ。つまりはお値段はゼロ円かな~ってこと。
「……何かお金になる物が流れてこないかな」
「まだまだ何にもないダンジョンだから仕方ないのよ~」
まだまだ育成が足りないダンジョンだから仕方ないのか。
しかし何事も最初から全て上手く行く訳もなしここからだと考えよう。
そうダンジョン育成計画を立てるのだ。
私はこのダンジョンコアの2人となら夢の様なダンジョン生活を目指せるかもと内心期待しはじめていた。
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