第一章 ダンジョン育成計画始動!

第3話

 4畳半の手狭な部屋が何室かあるだけの外見はしょうもないボロアパート。

 そこが私が生活している場所である。

 働いてた時はもう少しマシなとこに住んでいたのだが懐の問題もあり引っ越したのだが…。


「いくら時間がなかったとはいえ、もうちょっとマシなとこに引っ越せばよかった…」


 そんな風に思う部屋である。

 引っ越してから間もないので部屋の中には特にものらしいものは置いていない、あるのはダンボールが三箱あるだけだ。


  それ以外はマットが敷いてあり布団が畳んであるだけだ、あまり生活感がない。

 まあ仕方ない、まだ禄に生活していないのだから。


「おっと、そろそろ実際にダンジョンというスキルを実践してみなければ…」


 ダンジョンへ行くことができる入り口。

 ダンジョンゲート。

 まずはこれを作らなければいけないっと言っても必要な事はキーワードを言うだけなのだ。


  私はそのキーワードを口にする。


「ダンジョンゲート!」


 こんな言葉一つで本当にダンジョンゲートが出来んの?

 そんな事を思いながらも私が発した言葉、しかしそれによって目の前にダンジョンゲートが本当に現れた。


 うわ~~本当にマジだった。

 これがスキルの力なのか、なんかちょっと感動してる自分がいる。


 あの石造りの大きな門とは違い、人間1人が問題なく通れるくらいの扉だ。

 レンガを積み上げて出来た物で、今出来たばかりのくせにツタが巻きついているぞ。


 まるで長年の時を超えて存在した遺跡の入り口とでも言えばいいのだろうか。

 なんでそんな感じのダンジョンゲートなのかは不明である。


 それと扉の向こうは光で満たされていて中を伺い知ることはできない。


 本来のダンジョンはマストで危険なモンスターがわんさかいる場所だ。

 一応装備が買い揃えたものをまた使うつもりなのだが…。


「こんな貧相なもので一体何の役に立つのかわからないな…」


 その貧相な装備の内訳について話そう。


 先ずはネットで売られていたプロテクターだ、肘と膝、それと胸をガードする黒いプロテクターである。それとゴーグルとヘルメットだ。


 服は動きやすさを重視して上下青のジャージだ、そして武器は金属バッドである。

 いっちゃ悪いがダンジョン探索者専用の装備なんて自分に用意できるわけがない、だってお金ないし。


 それと銃刀法違反にならない上で用意できるものを用意したらこんな感じになったのだ。

 流石に安いからといって本物の刃物とかを買うのに比べればマシだからだ。


 安いからといって包丁やナイフとかを買ってダンジョンセンターに行ったりすると変質者扱いを受ける可能性があるのだ。


 いっぱしの探索者は槍とか剣とか普通に持っているのだが、完全な素人丸出しの初心者探索者が刃物を持っていると警察から普通に職質を受ける。


 ここら辺の扱いについては国はいまいち動いていないからである。

 銃刀法違反という法律は生きているのだが探索者としてある程度の実績のある奴らはそういう武器を扱ったとしても特にお咎めがないのである。


 つまり新米探索者の場合は刃物とか持ってたら職質されて下手をすると普通に捕まるという。

 何ともふわっとした感じなのが今は日本の現状なのだ。


 ダンジョンからモンスターが溢れてピンチになるなんてことが起こればどうなるか分からないが。

 なにぶん国というな目下に危機が迫らなければ対応は遅い、迫っても遅いもんは遅いのである。


 まっそんな事は今に始まった事ではないので仕方がないのだろう。

 しかし今はそんな国がどうの法律がどうなんてのはどうでもいい。


 装備を整えた私はしばし爆発しそうなほどに動く心臓が収まるのを待つ。


 ……ここから先のダンジョンは危険度という意味では完全に未知数だ、『ダンジョン』というスキルを持つからといって絶対に安全だという確証はネットの情報ではなんとなく多分大丈夫なんだろうと言うレベルのものしか得られなかった。


 ここにはダンジョンセンターの職員たちという教官役の人間もいない。

 自分の身に万が一何かが起こったと場合に助けてくれる存在は絶対にいない。


 そのことを冷静に考え、頭の中で整理する。

 何かがあった時にどっかから救い主が現れてくれないかなとかそんなバカなことに思考を裂かないためだ。


 そして深呼吸をして……私はダンジョンへと足を踏み入れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る