第15話 デート
あの告白を思い出す度に、顔が自然に赤くなった、胸をときめかせた。
昨夜あまりにもワクワクしたから、まともに寝られなかった。状況をさらに”悪化”させたのは、深夜に届いてくれたあのメールだった。
修治から「おやすみ、My彼女さん。」というメールを送った。何で”俺”のところをわざわざ英語にしたの?所有権を強調したいから?彼からのメールは今までたくさんあったのに、何で今はこんなに違う感じになったでしょう?関係性が変わったから?
まあ、自分の恥ずかしさを隠すために、私はこう返信した。
「おやすみ。💗」
簡潔けど十分伝わるでしょう?(笑)
朝早く、目覚まし時計を鳴る前にすでに目が覚めた。そして、今日のコーディネートを悩み始めた。
今日の初デートはどうなるだろうって頭の中に何度もシムレイションを繰り返して、期待も膨らんでいた。いったいどこへ行くなの?何をするの?何を食べるの?
修治の前にはいつも制服姿、部屋着とカジュアルな私服だけど、初デートだからいつもと違うスタイルで行こうと決めた。紺色のセミロングデニムワンピース、キラキラ系のシルバー色スニーカー、そしてネイビー色のトートバッグ。これでいつもより正式の感じが出すけど、まだ高校生らしくて大人すぎないかなと思った。
元々化粧するのは嫌いだから、いつも修治の前ではすっぴんだった。でも、今日だけは特別にリップグロスとサンスクリーンぐらいを塗った。
待ち合わせ時間5分前に家を出たが、修治はすでに家の前に待っていた。
目の前にいる彼はカッコイイだった。スカイブルーのワイシャツで紺色のジーンズと白いスニーカー、まるで私とペアルックになった。全然事前に打ち合わせをしてなかったのに。
しかも袖は肘までまくって前腕をさらけ出した。私はこういうのを弱い。
「おはよう!私は遅刻してないよね?」
「おはよう!理央、お前…」
そう言いながら、修治は私を頭から足の先まで見ていた、こんなふうに見られるのは恥ずかしかった。
「どうしたの?変なの?やっぱり着替える方がいいね…ちょっと待ってて…」
修治は私の腕を掴んだ。
「いや、ただいつもの理央じゃないから、つい見惚れただけ。すごくきれいだから、今日の理央は。確かにワンピース姿の理央を初めて見た。」
「じゃ、いつもはブスってことなの?」
「いつもはきれいだけど、今日はそれ以上を上回った。」
吉祥寺男、甘い言葉を平気な顔で言えるね。こっちが恥ずかしくなったけど。
「こんなことをそんな簡単に言えるんだ。他の女でもこういう話をしたの?」
「理央だけに言った。」
「他の女をこんなふうに褒めたら、許さないからね。」
「そんな心配はいらない。理央しか見てない。」
「本当に無表情でよくこんなこと言えるね。で、これからどこへ行くの?」
「まず、ご飯だな。」
こう言ったから、彼は私の手を握って歩き出した。
ええ、いきなり手つなぎ?この男、本当に初めて女と付き合うの?とても手慣れた様子だから、どうしても疑いたくなるね。
でも、連れて行ったところは全然想像もつかなかった。
一蘭 吉祥寺店
頭に疑問がいっぱいだった。私たちはここのラーメンをよく一緒に食べに行くが、初デートは何でここなの?しかもいつも混んでいるし、並ぶのも時間かかるし、食べ終わったら汗だくになるよ?いくら今は秋とは言え、今日の最高気温は珍しく25度超えるらしいけど。
店の前にすでに列ができたから、私たちはそれに入った。待ち時間は少なくとも30分だって。だけど、せっかくのデートを台無ししたくなかったので、できるだけイライラの気持ちを顔に出したくなかった。まあ、不機嫌さを出してもこの吉祥寺男は気付くかな?
ようやく店に入れられて、だけど遠く離れた別々の席に案内してもらった。あの、デートなのにこれはさすがにありえないよね?分かるけどさあ、一蘭の特徴はその「味集中カウンター」だから、面と向かって一緒に食べられないというのは承知の上だけど、隣同士の席さえ座れないというのはやっぱり悲しかったよ。いつも美味しく食べられるラーメンもこれで不味くになった。
ようやく食事を済ませて店から出たら、今度は映画館へ向かった。前回の映画鑑賞で間違ってラブストーリーを見てしまったけど、今回はどの映画を見るか密に期待していた。だけど、チケットにあるタイトルを見たら、どう反応していくかは分からなかった。
まさかのホラー映画だった。
別にホラー映画に苦手とかじゃなくて、むしろそれはすべてが作り物だと分かった上なので、全然驚かないから、普段はこういう系の映画を見ようとは思わなかった。私が知る修治でもこういうジャンルに興味ないだけど。じゃ、何でこういう系の映画を選んだの?
もっとも不思議なのは、修治は映画上映中うたた寝してしまった。よっぽど疲れたのかな?それとも映画がつまらなかったかな?
やっと映画館から脱出した二人は、カフェに行ってお茶を飲んでいた。
「寺島修治さん、聞きたいことはいくつがありますけど。」
フルネームで呼ばれたので、修治は驚いた顔をした。
「どうぞ。」
「まず、何で一蘭なの?」
「理央がそこのラーメンを好きだから。」
「でも、離れて座る、会話もできないってデートにふさわしくないと思わないの?」
「今日はここまで混んでいるとはね…」
「平日でも満員なのに、今日は土曜日だよ。それぐらい予想できないの。」
「すみません。やっぱりオシャレなレストランの方がいいか?」
「そういう問題じゃないの。はあ…」
「二度としませんから。」
「じゃ、何でホラー映画なの?私たちの好みに合わないでしょう?」
「ああ、それは兄の提案だった。丁度ラブストーリーの映画が売り切れて、だからホラー映画でもいいって。スキンシップ図れるためなら効果抜群だって。」
これを聞いた私は口の中のお茶を噴出しそうになった。寺島お兄さん、何でこういう変なことを弟に吹き込んだだろう?こういうやりかたで女の子とデートしているの?深いため息をして、私はこう話した。
「私は別に高価のものを食べたいわけじゃないだよ。ファストフードでも、B級グルメでも、家から持ってきた弁当でもいいから。初デートにして、まともに会話もできないし、ゆっくりごはんを食べられないというのは残念だと思っただけ。だから、普段は一蘭がOKでも、今日は別のもっと静かな場所に行きたかった。
映画のことだけど、私もあなたもホラー映画に興味ないでしょう?だから、他のタイプの映画でもいいから。それにチケットが売り切れなったら、映画を見ることにこだわらなくてもいいじゃん。散歩だって行けるし。
デートって、一緒に時間を過ごすことが一番大事だと思う。何をする、どこへ行く、何を食べるというのはそんなに大切じゃない、少なくて私はそう思う。二人で楽しめなきゃ意味がないさあ。さっき、映画館でうたた寝したでしょう?勿体ないよ、チケット代も時間も。
だから今度はそこまで無理しなくてもいいから。私たちのペースと好みに合わせてやればいいよ。
それと、お兄さんの言うことをそのまま信じるのはやめてよ。いいですか?」
修治は心配そうな表情からだんだん明るくなってきた。
「おしゃる通りです、遠山理央さま。かしこまりました。」
「何なんだよ、こういう言い方?冗談っぽいって…」
「理央のことをもっと惚れたと思った、カッコイイだよ。」
「別にカッコイイのつもり…」
「しっかり自分の考えがあって、そしてそのまま伝える。だからあなたのこういうところが一番好き。」
「分かったから、ここでこういう話をしないでよ、周りに聞かれたら恥ずかしいよ。」
「正々堂々と言えるけど。」
「やめなさい!」
「ちなみに、説明することがある。確かに兄がいろんな変なアドバイスをあげたけど、俺は全部を取り入れてなかった。一蘭はただ理央と俺がいつも行くところで、そこのラーメンを好きだから。映画の件は確かにやっちゃいけなかったけど、俺がうたた寝の理由は理央にあるから。」
「私?」
「そのメールの返事を見てたら、また理央のことで頭がいっぱいになって、だから眠れなかった。」
「もうこういうことはその顔で言わないで!」
修治は私の反応を楽しんでいるように笑いが止まらなかった。
夕方になり、私たちはデートを終えたけど、どうしても家に帰りたくなかった。家の前に楽しく立ち話をしていたら、未央がいきなり家から出てきた。
「あの~邪魔してすみませんですけど、ラブラブのお二人さんはいつまでイチャイチャするつもり?みんなはうちで晩ご飯を食べる予定なので、君たちは全然家に入らないから、もうみんなお腹すいたし待たない。早く入って来てよ。
それに、おやすみのキスを後ですればいいから。」
まさか、両家の親と兄弟が私たちのことを家から見ていたなんて、後で散々からかわれることが確実だ。
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