第14話 デート前夜

私たち両想いになった日は金曜日だったので、翌日の土曜日に初デートへ行くと決めました。


だが、私はデートプランについて何も聞かされなかった。修治は当日の楽しみっとしか言われなかったので、私は仕方なく彼にすべてを任せた。ていうか、彼は私への告白が成功になることを最初から想定したの?だから、あんな自信満々の顔でデートプランが自分にまかせてとか言ったの?


二人にとって人生初めてのデートだから、いったい彼はなにをするか正直なところ不安とワクワクが半々だった。まあ、何とかなるでしょう。非常識なことはしないでしょうね?


正直、彼からの告白は予想しなかった。この前の運動会での行動から、彼がもしかして私を好きかなと勝手に思った瞬間はあったけど、すぐに自分の中に否定した。だって、あの修治が私を好きってあり得ないでしょう?吉祥寺とアートしか眼中にない寺島修治だよ?女の子に興味あるって不可能だよね?余計な期待をしたくないから、この可能性をなるべく無視し続けた。だから、あの絵を見た瞬間確信した。


彼はやっぱり私のことを好きだって。


あんなロマンティックなことができるって、いつもの修治らしくないから驚いた。だけど、実際に周りも巻き込まれたまで一緒に手伝うことの方がもっとショックだった。それで、初めて知ったのは修治が私が思ってたより考え深いの男だった。


この策士の罠にはめられたよ。本当に自分は情けないけど、まあ結果的にはよろこんでいるけど。


彼からの絵を家まで持ち込みたいけど、家族に見られたら、修治とのことがきっとバレると思って、音を立てないように部屋まで行った。しかし、自分の部屋に入った途端、先客はすでにいた。


待ち伏せしたのは妹の未央みおだった。


「びっくりした、何で私の部屋にいたの?」

「へへ、おかえりなさい。カップル成立おめでとう!」


そう言って私に向けてクラッカーを放った。


「ちょっと、何でクラッカー…さっき、何を言った?」

「カップル成立おめでとう?」

「何を言ってる?」

「ごまかさないでよ、今日の公開告白って中等部まで話題になったよ。それ、噂の絵なの?見せてよ!」


未央が私の手から修治の絵を奪い、じっくり見ていた。


「修治さんから見た姉ちゃんってこういう感じなんだ…まるで彼の目から愛情がただ漏れたの感じだよ。」

「何で中等部まで知ってるのよ?」

「地元の大物カップル成立だからでしょう?」

「何が大物カップルって?大げさだよ。」

「まあ、修治さんとのことは時間の問題だと思ってたけど。まさか手出すのは思ってたより早いね、しかもこんなに派手な告白だよ!姉ちゃんはさあ、大感動したでしょう?」

「何が時間の問題だよ?まるで予測できたじゃない。」

「だって修治さんと姉ちゃんが両想いのことがみんな見れば分かるから。もう私たち両家公認のカップルってこと。」

「そういうことって、なんで私だけは知らないみたいなの?」

「第三者の私たちは当事者の君たちより状況をよく把握できたからじゃない?」

「ああそう、なんか楽しそうだね。人のことを馬鹿にして。」

「まあ、修治さんなら姉ちゃんと必ず幸せなれると思うよ。」

「私たちはまだ高校生だよ、あんな言い方だとまるですぐにでも結婚するみたいじゃない。」

「姉ちゃんは修治さん以外の人と結婚しないと思うけどなあ。」

「人生はまだ長いですから。」

「自分の顔を見れば分かるよ、幸せを隠せないよ。もう喜びが溢れ出しているから。恋愛中の女ってこういう感じ?」

「もういいから、部屋から出ててよ。着替えするから。」

「はい~きっと絵を見ながらニコニコするでしょうね。邪魔ものは退場しますよ~」


そう言い残した妹は部屋から出ていた。


まあ、図星だけど。着替えより、まずこの絵をどこに飾っているかを決めないと。自分が自分の絵を見るのは変な感じになるけど、やっぱり修治の作品を飾りたかった。これを見た時、修治の顔を思い出しているので、顔がまた熱くて、真っ赤になったことを自覚していた。


夕食の時間に、両親は何かを言おうとした顔をするから、多分公開告白のことが知ってしまった。パパはどうしても我慢できなかったみたいで、先に話しかけた。


「理央はさあ、その…もう高校生だから、そろそろ…」

「パパは直接に言えばいいじゃない。何なら私から言う…」

「まだ話したばかりだろう、ママ。落ち着いて…」

「あの…パパとママも冷静になってよ。姉ちゃんからの発表を聞けば…」


私は溜息をした。みんなが私をジロジロ見ながら、私が何を言おうか待っていた。


「学校でのこと知ったでしょう?はいはい、お隣の寺島修治と付き合うことになったよ。」


そしたら、家族は拍手し始めた。


「ようやくカップルになったね、本当に良かった。」

「修治くんならいい婿になるだね。」

「話は早いでしょう。二人はまだ高校生だけど。」

「まあ、いずれ将来はこうなるからなあ…」

「パパって気が早いね。」

「他の変なやつより修治くんがいいから、それに理央のことを本当に好きだし。」

「姉ちゃんはまだお嫁さんにはなれないから、パパ。


この状況をどうしても理解できないなあ。普通、高校生の娘が初めて誰かと付き合うって、心配するか反対するかというのは一般的な反応でしょう?これで、まるで私をすぐにでも寺島家に嫁として送りたいみたい。


「もういいから、ご飯を食べましょうよ。」


波乱の夕食後、部屋に戻ってすぐ携帯電話が鳴った。画面に修治の名前が現れた。私の顔に自然と笑顔になった。


「あんたのせいだよ。」

「何が?」

「公開告白は皆が知ってるから、さっきから大騒ぎだった。」

「うちも同じぐらい。兄だって、いつもこういう話に興味ないけど、母ちゃんが知らされたから、こっちの携帯までメールを送った。」

「何を書いた?」

「吉祥寺とアート以外に興味ある人が現れたんだ。こういう日が来るとは思わなかったけど。告白、よくできたな。」

「お兄さんったら、何でこういうことを書いた。」

「兄なりの祝福ってこと?でも、まるで結婚祝いだけど。」

「だから、二人きりでやればいいのに、告白。」

「もう手遅れだ。」

「あしたのデート、多分生中継にされそう。あなたは地元の有名人だから」

「大丈夫。任せて。中継されても困らないことをする。」

「それどういうことなの?何を企んでいるの?」

「心配しない、公開キスはしないから。」

「そんなこと聞いてない!」

「公開手つなぎはするけど。」

「寺島修治!あんたね~」

「まあ、明日楽しみだね。朝迎えに行くから。」

「迎えに行くって、家を出るまでの距離だよね。」

「それがお互いにも便利だし、待ち合わせの必要もないし。」

「ねえ、まさかとは思わないけど、吉祥寺から出て他のところでデートする?」

「しないよ。吉祥寺で知り合ったから、吉祥寺で記念すべき初デートをする。」


私の頭の中に浮かび上がったのは、彼は何でデートまで吉祥寺にこだわる必要があるの?


まあ、この人は吉祥寺男だから、仕方ない。でも、もしかして、これからのデートも吉祥寺限定なの?


そう考えると、私の頭が痛くなった。

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