第11話 運動会
新学期の9月が始まった。
9月と言えば、うちの学校の一大イベントは運動会だ。各クラスは学年トップを争うために、皆は結構気合を入れていた。いろんな種目の代表を選ばなければいけないので、クラス全員がホームルームの時間を使って話し合っていた。
私はどんな種目に参加しても構わない思ったから、話し合いの過程にあまり興味が持たなかった。そしたら、私は想像できない企みに巻きもまれた。
クラス委員長は皆にこう話した。
「はい、次の種目は男女ミックス二人三脚競走です。やりたい人はいますか?」
案の定、誰も手を挙げてなかった。しばらくの沈黙したら、一人の女の子はこういう提案をした。
「寺島くんと遠山さんはいいと思います。だって、二人は大の仲良しじゃない?」
そう聞いた皆は瞬時騒ぎ始めた。
「そうよ、こういう競技って相性がいい人たちが勝てるから。」
「それに二人は運動神経が抜群だし、楽勝だよ。」
またこういうことを言ってる。だから、私は寺島とそういう関係じゃないって。
私はこの提案を断ろうとした時、寺島は先に席から立ち上がった。何だ、彼は断るなら私は何も言わずに済むだね。
「分かりました。この種目に参加する。」
こう聞いたクラスメイトはまた騒ぎ立てた。私は不思議そうな顔で寺島に見ていたけど、彼はただ意味不明の笑顔を見せた。
学校帰りに、ようやくこの件について寺島に問い詰めた。
「何で勝手に決めたの?私の意見を聞かずに。」
「その場で断っても皆は納得できると思う?」
「本人の意思を無視するって…」
「そんなに嫌なの?俺との二人三脚?」
「そうじゃないけど。」
「ならいい。明日から練習しよう。」
何で寺島はこんなレースに張り切っていたか、私はさっぱり分からなかった。
翌日の夕方、寺島家の庭で練習することになった。184センチの寺島と168センチの私は身長差があるものの、二人三脚をやる時は思ってた以上やりやすかった。歩幅を合わせて、一定のリズムを守れば、まずは転ばないだろう。でも、スピードを上げたいなら、もうちょっと練習した方がいい。やっぱり、私たちって相性がいいかもしれない。
一時間ぐらい練習してから、二人は休憩のため庭にあるベンチに座り、ジュースを飲んでいた。
「本当に勝ちたいみたいだね。」
「まあ、レースに出たらもちろん勝ちたいだ。」
「今までこういうことに無関心じゃない?」
「今回は頑張りたいと思っただけ。」
「へえ、珍しいね。で、文化祭の作品はどうなったの?それは家にあるの?」
「まだ見せないって言っただろう?」
「何でこんなに秘密をしたかったの?」
「当日の楽しみだから。」
「ケッチ!」
「そう言えばさあ、俺たちはもし勝ったら、俺のお願いを一つ聞いてもいい?」
「まさか私にご飯を奢ってくれとかは言わないよね?」
「お金がかからないことだ。」
「まあ、犯罪じゃないなら、多分大丈夫。」
「約束だね。わざと負けたりはしないでね。」
「私だって負けず嫌いだから、絶対勝つから。」
そう聞いた寺島は意味深いの表情を見せられ、私は思わず震えていた。
運動会当日、私たちの種目は最後から二番目になっていた。ウォーミングアップ中、クラスの皆は激励の言葉を送りながら、私たちのことをからかうチャンスも逃さなかった。本当にこういうことを何度もしてよく飽きない人たちだね。
そして、二人三脚競走がスタートした。
出場したペアは私たちを含めて8組で、最初からリードしたのは一番内側にあるレーンのペアだった。だけど、曲がり角のところから他のチームも追いつけたので、段々接戦になっていた。寺島の合図で私たちは計画した通りスピードを上げて、他のペアとの距離をどんどん広げた。でも、ゴールまであと少しのところ、後ろから追いつかれそうなペアが現れて、私たちはさらにスピードを上げた。やっとゴールにたどり着いた時、私はバランスを崩れ転びそうになった時、寺島は素早く手を私の背中に回し、抱きしめたような形でそれを阻止した。
「危なかった、本当に転びそうになったら恥ずかしいよ。ありがとう。」
「ゴールに着いたからと言って、気を付けよ。」
「はいはい、分かりました。ね、もう放してもいいよ。」
「約束覚えている?」
「ああ、それ?じゃお願いは何?」
そしたら、寺島は私の耳元にこうささやいた。
「今から、お互いのことを下の名前で呼びあいましょう。いいよね、理央。」
これを聞いた私はただ驚いた顔で寺島を見ていた。
やられたよ。私は吉祥寺男の罠にはめられた。
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