第7話 興味

俺は吉祥寺男です。


自分が言うのはちょっと変だけど、周りからそう呼ばれていたから、俺は別に気にしてないけど。


改めまして、寺島修治です。吉祥寺生まれ、吉祥寺育て、そして吉祥寺に住む高校1年生です。


自分のことは特別とは思えないが、周りからはそうではないみたいだけど。まあ、一番の理由は俺の吉祥寺に対する「愛情」かな。


子供のころから、よく親父から吉祥寺のいいとろを散々聞かされてきて、それで地元に対する愛着が生まれただけなのに、いったいこれのどこが変だな今だに分からない。昔、他人に吉祥寺のいいところを伝えようとするが、聞く耳すら持たない人が多いなので、俺はもう諦めた。まあ、分かる人は分かるから、それ以上言わなくていいと思った。


俺は好きなものにしか興味が湧かない。美術が好きで、中学生の時から武蔵野美術大学ムサビに入ることを目指している。親たちも好きなようにすればいいからって、非常にありがたいことだ。家の和菓子屋を継ぐつもりはないが、そこにいることが好き。甘い匂い、古い下町の雰囲気、そしてきれいな和菓子がたくさん見えて食べられるというのは幸せの極まりだ。俺は店からいろんなアイディアを得られ、自分の作品に生かしている。小学校高学年から店の宣伝材料の作成を任せれて、店の経営にすこしでも貢献して、吉祥寺の繁栄にもつながることができたらいいと思う。


初めて吉祥寺、美術、和菓子と家族以外のものに興味が湧いたのは遠山理央だった。


高校に入って初日、理央のことをすぐ気づいた。だって周りは子供のころからずっと一緒だった地元っ子だし、理央の存在が目立った。特に美人でもなく、特にスタイルが抜群でもなく、でも俺は彼女のことを気になった。教室で目が合った時、理央の動揺した顔を今思い出しても笑いたくなる。


でも、その後の出来事で、理央のことにもっと興味を持った。


まさか、見ず知らずの俺を庇うために、クラスにあんなことを言ってしまった。でも、俺は内心で喜んでいた。今まで、俺を馬鹿にして、そして俺の吉祥寺に対する思いを同感できないやつがたくさんいたのに、赤の他人の理央は正義の味方のようにそれらに立ち向かった。多分、彼女はそういう意識とつもりはないけど、俺から見た理央こういう感じだった。


まるで俺のヒロインだ。


偶然屋上庭園で話できたのもうれしいし、家が隣同士になったのも本当にありがたい偶然で、思わずこれは運命の出会いだと思い込んじゃった。その後、理央とどんどん仲良くなったけど、俺は心配することがある。


俺と友達になった理央は周りに孤立されたらどうするかって。だけど、理央はその辺のことを気にしてないみたい。


「私は無理をして周りに合わせたくないから。寺島も私も自分のままでいいじゃない。」


本当にカッコイイだ、理央は。


今のところ、理央のことをただの盟友として思っていたが、ある出来事で俺の気持ちが変わってしまった。

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