あるサッカーチームのお話

 これほど応援しがいのないサッカーチームがあっただろうか?


 COM-SADOREDOREという結成110年目のチームは

毎年負けが込んでいる。


 その最大の理由は複数点を入れられないことだ。


 結成以来、2点以上を取ったことがないのである。

当然、2失点したら勝ち目がないし、1失点でも負けか引き分け。


 では毎回無失点に抑えられるかというと、そうもいかない。

さらに、2失点以上してしまうと途端に選手たちの足が止まる。


 もはや諦めているようにしか見えないのだ。

それでは応援しても仕方ないと思うのは当たり前なのである。


 「あの奴ら、いつもながら無表情でやってやがる」


 観客がそう吐き捨てるように言う。

もちろん、相手チームの応援団だ。


 「しかし、そんな奴らとやる選手もさぞかし不気味だろうな~」


 隣に座る友人がそう漏らす。

このチームの選手は二人が言った通りで、まったくもって表情がないのだ。

喜怒哀楽がさっぱりわからない、こんなつまらないものがあるだろうか。


 「なぁ、不気味だから俺、家に帰るわ」


 「だったら俺も帰る」


 こうして対戦相手の観客も帰ってしまうほど、不気味でならない。



 それはなぜなのか?


 結論から言えば、このチームでプレイしている選手は全員「ロボット」だからだ。

そしてこれらはコンピューター(COM)が操っているので、0と1しかわからない。

 なので自分たちは2点以上入れられないし、2失点してしまうと頭脳が混乱して

動けなくなってしまうのだ。


 ちなみにだがこのチーム、結成110年というのは間違いで、

二進数を十進数に直すと6周年なのである。




 ※このお話に登場するチーム名等は実在する団体と一切の関係がございません

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