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「よく寝ました! さぁ、家を作りましょう」
「目覚めた瞬間から元気だな、マーガレットよ」
「おはようございます、アーさん。フェンは……起きなさそうですね」
アーさんは悪魔だから寝ないんでしょうか? フェンは朝弱いタイプですね。朝日を浴びながらもすやすやととても気持ちよさそうに寝ています。とりあえず朝のモフモフを味わっておきましょう。
「もふもふー」
「何をやっているのだ、にしてもどうやって家を作る」
「考えがあります。まずは土地の確保と資材の確保です。アーさん、そこら辺の木をきってください」
「お易い御用だ」
そういうとアーさんは指を鳴らして魔法を発動させます。風の刃が木を切り倒し、残った切り株ごと土地がならされていきます。
「おぉ……さすがですね。素晴らしい魔法です」
「……我は悪魔公だからな」
嬉しそうです。アーさん。
「じゃあ、私の指示に従って木材を加工、設置してください!」
「うむ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「崩れましたね」
「崩れたな」
私とアーさんは崩れた木材の山を見つめます。挑戦を始めたのは朝。それなのにもう夜になりそうです。
何度挑戦しても崩れてしまいます。うーん、やはり私の建築力は死んでいるようです。ちなみに昼頃に起きたフェンはご飯を取りに行きました。そろそろ帰るでしょう。
「どうします? アーさん」
「洞窟に住むか、知識のあるものを探すしかないのではないか?」
知識のあるものを探す……また魔界から呼びましょうか?
そんなことを考えていると、フェンが戻ってきます。ですが様子がおかしいです。フェンの背中に10人近い耳の長い女性が乗っています。
「おかえりなさい、フェン」
「ただいまだ、主。食料を見つけたぞ」
「まさか……上に乗っている方々ですか?」
すごい首を横に振ってますけど……やっぱり狼のフェンからすると魔物も人も同じく餌なのでしょうか?
「違う違う、食料として見つけてきたのは魔物だ。こいつらはエルフだそうだぞ」
「エルフ? 王国では見かけませんでしたね」
聞いたことはありますけど、エルフは見たことありません。
「なぜか森で倒れていた」
「助けたのですか? 偉いですね、フェン」
褒めてあげます。もふもふー。
「して、エルフの人達はなぜそんなに怯えてるんです?」
「……アーさんのせいでは?」
「我か?!」
エルフの人たちがアーさんの声に凄まじく震えています。アーさんのせいですね。
「ごめんなさいアーさん、すこし離れていてください」
「……」
アーさんは悲しそうにしながらフェンがとってきた獲物をもって飛び立っていきます。ごめんなさいアーさん、食事楽しみにしてます。
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