7

「私はエルフのシルフィ。この者達の代表をしております」


 10人ほどのエルフが次々に挨拶してくれます。正直、シルフィ以外は覚えられません。全員が素晴らしい美形なので私が男であれば天にも召される気持ちだったでしょう。まぁ私は女なのでその美貌とスタイルに劣等感しか湧きませんが。


「それで、この森で何を?」

「里が人間に襲われ、奴隷にされ運ばれていたところを魔物に襲われ、放浪していた所でフェン様に助けられまして……」

「フェン様」


 なぜかフェンが様付けされてると笑ってしまいます。なにせフェンは今私の膝ですやすや寝てますから。

 小さいモードだとこんなことも出来ます。というか、寝すぎじゃないです?


「ちなみに、帰るところは?」

「里は滅びましたから。ありません、是非とも貴方様のところに置いていただきたく」

「私のところといっても、何も無いですよ」


 謙遜ではなく、本当に何も無いです。家もなければ甲斐性もありません。


「お願いします、何でもしますので」

「んー、あ。家作れたりします?」

「家、ですか? 里ではよく作業をしていたので作り方は分かりますが……」

「おお!」


 これは思わぬ展開です。


「では、家を作ってもらえますか? 私たちの住む家と、あなた方の住む家」

「分かりました! 資材は……」

「アーさん、さっきの悪魔が用意してくれています。怖いのは分かりますが、いい子なので仲良くしてあげてください」

「……わかりました」


 ちょっと不安そうですが、仲良くしてくれることを祈りましょう。


「では、そういう方向で」


 私には甲斐性はないので、共存をめざします。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「出来ました」

「おお……! 家ですね!」


 3日程のんびりとすごすと、エルフ達が家を完成させてくれました。あ、ちなみにエルフ達は服とかも作れるし、調味料の入手方法も知っていたので生活の質が劇的に上昇しました。幸せです。フェンをもふもふしましょう。もふもふー。


「凄まじい技術力だな」

「アーさんとエルフのおかげです」


 間違いありません。あと、フェンも食料調達ありがとうございました。あれ? 私何もしていない? まぁ、何もしなくても生活ができるのは素晴らしいことです。はい。


「……我は資材を用意しただけだ」

「そんなことありませんよアーさん」


 エルフとアーさんは仲良くなってますね。アーさんは態度は冷たいですが、内心まんざらでもないタイプですから。


「では、みんなで我が家にはいりましょう。フェン、アーさん、ただいまって言うんですよ」

「なぜだ?」


 アーさんもフェンも不思議な顔をします。


「いいから、言うんです」

「「……ただいま」」


「はい、おかえりなさい! アーさん、フェン!」


 これが言いたかったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る