2

「お、おお。凄まじい邪気が王国に向かってますね……」


 私が結界を無くしたことに気づいたのか、魔界から凄まじい魔力をもった生命が近付いてますね。さて、王国は守りきれますか? 私には関係のない事ですが……混乱する王や王子を想像すると胸がすく思いです。


「さて、私はどうしましょうか……ってあれ、邪気が私にも向かってきてるような」


 王国にも凄まじい邪気が向かってるけど、私の方にも向かってますね。すごい可愛らしい邪気ですが……。

 邪気の感じるところに近づいてみると、魔界と現世を繋ぐゲートが現れます。そして、そこからは小さな狼さんが現れました。


「なっ……」


か、か、か……


「可愛いぃぃぃぃ!」

「な、なんだこの人間?!」

「きゃぁぁぁぁしゃべったァァァ?!」


 ちょっと大袈裟に反応しすぎましたか……王国が酷い目にあってると思ってテンションが上がってたのかもしれないですね。

 ちなみに、魔界の生命は知能がとても高いものが多いです。


「にしても可愛いですね」

「急に冷静になるのだな……して人間。なぜ我の魔法が聞かない? 魅了魔法を弾き続けているぞ?」

「私は聖女ですからねー、そういうのは効きませんよ」

「そのようだ……では、力でお前を……!」

「はいはーい、そういうのはダメですよー」


 狼は魔力を使って大きくなろうとしますが、私の力で元に戻します。


「なぜだ?!」

「二度目ですが、私、聖女なんですよ。魔界の中でもデーモンロードくらい連れてこないと勝てません」

「デーモンロードなどそうそういるものではないだろう……兎にも角にも、我はまさか」

「そうですね。私には逆らえません。ということで狼さん、私に従ってください」


 口ではお願いしてますが、無理矢理契約魔法を使ったので逆らえないはずです。


「……契約魔法を無理矢理結んだのだな。めちゃくちゃすぎるだろう人間。いくら聖女といえどそこまで出来るものでは……」

「結界の力を吸収しましたからね。強いですよー」

「はぁ……契約が成立した以上、我はもう逆らえん。好きにしろ」


 さすが魔界の生命。力で負けているとわかれば素直ですね。向こうでは力が全てとききますから。


「さて、私はマーガレットです。あなたの名前は?」

「フェンだ」

「フェンですね。よろしくお願いします、とりあえずモフモフさせてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る